呻吟語 / 内篇・修身・上に居りて驕らず
凡處人不繫確然之名分,便小有謙下不妨。得為而為之,雖無暫辱,必有後憂。即不論利害論道理,亦云居上不驕民,可近不可下。
新字:凡処人不繋確然之名分,便小有謙下不妨。得為而為之,雖無暫辱,必有後憂。即不論利害論道理,亦云居上不驕民,可近不可下。
書き下し
凡そ人に處するに確然の名分に繫からざれば、便ち小しく謙下有るも妨げず。為すを得て之を為さば、暫辱無しと雖も、必ず後憂有り。即ち利害を論ぜず道理を論ずるも、亦た上に居りて民に驕らず、近づく可くして下る可からずと云ふ。
現代語訳
およそ人と接するとき、確かな名分に関わらないのであれば、少しくらいへりくだっても差し支えありません。できるからといって好きにすれば、その場では辱めが無くても、必ず後の憂いがあります。損得を論ぜず道理を論ずるとしても、上にいて民に驕らず、近づきやすくても下には落ちないと言われています。
解説
前の段の但し書きにあたる一段です。名分に関わらない場面なら、少しへりくだるのは構わない。逆に、できるからといって振る舞えば後で憂いが来ると釘を刺します。そして理想の姿を、近づきやすいが下に落ちない、という一点で示す。親しみと威を同時に保つという、実際には最も難しい注文になっています。親しみと威を同時に保つという、最も難しい注文です。
この章句が説くこと
謙下名分威親しみ後憂
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