呻吟語 / 外篇・治道・訟を聽く者は天平の如し
聽訟者要如天平,未稱物先須是對針,則稱物不爽。聽訟之時心不虛平,色態才有所著,中証便有趨向,況以辭示之意乎?當官先要慎此。
新字:聴訟者要如天平,未称物先須是対針,則称物不爽。聴訟之時心不虚平,色態才有所著,中証便有趨向,況以辞示之意乎?当官先要慎此。
書き下し
訟を聽く者は天平の如くならんことを要す。未だ物を稱らざるに先づ須らく針を對すべし。則ち物を稱ること爽はず。訟を聽くの時、心虛平ならず、色態才かに著くる所有らば、中証便ち趨向有り。況んや辭を以て之に意を示すをや。官に當たるには先づ此れを慎むを要す。
現代語訳
訴えを聴く者は天秤のようであることが必要です。物を量る前に、まず針を合わせておくべきです。そうすれば量って狂いません。訴えを聴くとき、心が虚で平らかでなく、顔つきに少しでも表れれば、証人はすぐ傾きを察します。まして言葉で意を示せばなおさらです。官に当たるには、まずこれを慎むことが必要です。
解説
裁きを天秤に譬え、量る前に針を合わせよと言います。つまり聴く前の心の状態が問題です。そして証人の反応が描かれます。顔つきに少し表れるだけで、証人は傾きを察して合わせてきます。言葉で示せばなおさらです。証言が裁く側の態度で変わるという指摘で、公平さが事前の準備に懸かっていることが示されています。公平さが、聴く前の準備に懸かっているのです。
この章句が説くこと
聴訟天秤事前顔つき証言
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