呻吟語 / 外篇・治道・六自
余居官有六自:「簿均徭先令自審,均地先令自丈,未完令其自限,紙贖令其自催,幹証催詞訟令其自拘,幹証拘小事令其自處。」鄉約亦往往行得去,官逸而事亦理,欠之可省刑罰。當今天下之民極苦官之繁苛,一與寬仁,其應如響。
新字:余居官有六自:「簿均徭先令自審,均地先令自丈,未完令其自限,紙贖令其自催,幹証催詞訟令其自拘,幹証拘小事令其自処。」鄉約亦往往行得去,官逸而事亦理,欠之可省刑罰。当今天下之民極苦官之繁苛,一与寛仁,其応如響。
書き下し
余官に居りて六自有り。「簿に均徭は先づ自ら審らかにせしめ、地を均しくするは先づ自ら丈らしめ、未だ完せざるは其の自ら限らしめ、紙贖は其の自ら催さしめ、幹証詞訟を催すは其の自ら拘せしめ、幹証小事を拘するは其の自ら處らしむ」。鄉約も亦た往往にして行き得去る。官逸にして事も亦た理まり、之を欠けば刑罰を省く可し。當今天下の民は極めて官の繁苛に苦しむ。一たび寬仁を與ふれば、其の應ずること響くが如し。
現代語訳
私は官に居て六つの自らがありました。労役の割り当ては本人に先に調べさせ、土地を均すには本人に先に測らせ、未納は本人に期限を決めさせ、紙代の贖いは本人に催させ、証人の呼び出しは本人に拘えさせ、小事の証人は本人に処置させる。郷約もしばしば行えました。官は楽になって事も整い、これを欠けば刑罰を省けます。今の天下の民は、官の繁雑さと苛酷さにひどく苦しんでいます。ひとたび寛やかさと仁を与えれば、応えることが響きのようです。
解説
自分の実務を六つ列挙します。どれも当事者に先にやらせる形です。労役も測量も期限も催促も呼び出しも、本人に任せる。結果として官は楽になり事も整い、刑罰まで減ります。手を抜いているのではなく、当事者のほうが事情を知っているからです。そして寛やかにすれば響くように応えると結ばれ、実際に効いたことが報告されています。
この章句が説くこと
六自委ねる当事者省力寛仁
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