呻吟語 / 内篇・應務・三種の方便
仕途上只應酬無益人事,工夫占了八分,更有甚精力時候修正經職業?我嘗自喜行三種方便,甚於彼我有益:不面謁人,省其疲於應接;不輕寄書,省其困於裁答;不乞求人看顧,省其難於區處。
新字:仕途上只応酬無益人事,工夫占了八分,更有甚精力時候修正経職業?我嘗自喜行三種方便,甚於彼我有益:不面謁人,省其疲於応接;不軽寄書,省其困於裁答;不乞求人看顧,省其難於区処。
書き下し
仕途の上は只だ無益の人事に應酬するのみ。工夫八分を占め了はる。更に甚の精力時候有りて正經の職業を修めん。我嘗て自ら三種の方便を行ふを喜ぶ。彼我に於て益有るより甚だし。人に面謁せず、其の應接に疲るるを省く。輕々しく書を寄せず、其の裁答に困しむを省く。人に看顧を乞ひ求めず、其の區處に難むを省く。
現代語訳
官途にあると、益の無い人付き合いに応対するばかりです。手間の八割をそれが占めてしまいます。それでどこに本来の職務を修める力と時間が残るでしょうか。私はかつて、自分から三つの手間省きを行うのを喜びとしました。互いにとって益になること、この上ありません。人に面会を求めない。相手が応接に疲れるのを省きます。軽々しく手紙を送らない。相手が返事に困るのを省きます。人に取り計らいを頼まない。相手が処理に苦しむのを省きます。
解説
人付き合いが職務の時間を八割奪っているという診断から始まります。そして自分が実行した三つの省略が挙げられます。面会を求めない、手紙を送らない、頼み事をしない。いずれも相手の手間を省く形になっているのが要点で、断るのではなく初めから発生させないという工夫です。自分にも相手にも益があるという理屈が添えられています。
この章句が説くこと
応酬省略面会書簡依頼
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