呻吟語 / 外篇・治道・愛する所の者をして恩を知りて敢へて肆ならざらしむ
驕慣之極,父不能制子,君不能制臣,夫不能制妻,身不能自制。視死如飴,何威之能加?視恩為玩,何惠之能益?不禍不止。故君子情盛不敢廢紀綱,兢兢然使所愛者知恩而不敢肆,所以生之也,所以全之也。
新字:驕慣之極,父不能制子,君不能制臣,夫不能制妻,身不能自制。視死如飴,何威之能加?視恩為玩,何恵之能益?不禍不止。故君子情盛不敢廃紀綱,兢兢然使所愛者知恩而不敢肆,所以生之也,所以全之也。
書き下し
驕慣の極みは、父も子を制する能はず、君も臣を制する能はず、夫も妻を制する能はず、身も自ら制する能はず。死を視ること飴の如くんば、何の威か能く加へん。恩を視ること玩の如くんば、何の惠か能く益さん。禍せずんば止まず。故に君子は情盛んなるも敢へて紀綱を廢せず。兢兢然として愛する所の者をして恩を知りて敢へて肆ならざらしむ。之を生かす所以なり、之を全うする所以なり。
現代語訳
驕りと慣れが極まれば、父も子を制せず、君も臣を制せず、夫も妻を制せず、自分も自分を制せません。死を飴のように見れば、どんな威も加わりません。恩を玩び物のように見れば、どんな恵みも足しになりません。禍にならなければ止まりません。だから君子は情が盛んでも綱紀を廃しません。びくびくと慎んで、愛する者に恩を知らせ、恣にさせません。それがその人を生かし、全うさせる方法です。
解説
甘やかしの果てを、四つの関係で示します。父子、君臣、夫婦、そして自分自身。最後に自制も効かなくなるのが要点です。そして威も恵みも効かない状態が描かれます。死を飴と見て恩を玩び物と見るからです。処方は、愛していても綱紀を廃さないこと。そして最後の一句で目的が示されます。制することが、その人を生かすためだとされています。
この章句が説くこと
驕慣四関係無効綱紀生かす
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