呻吟語 / 外篇・治道・恃む所有らしめず
有一種人,以姑息匪人巿寬厚名;有一種人,以毛舉細故巿精明名,皆偏也。聖人之寬厚不使人有所恃,聖人之精明不使人無所容,敦大中自有分曉。
新字:有一種人,以姑息匪人巿寛厚名;有一種人,以毛舉細故巿精明名,皆偏也。聖人之寛厚不使人有所恃,聖人之精明不使人無所容,敦大中自有分暁。
書き下し
一種の人有り、姑息匪人を以て寬厚の名を巿る。一種の人有り、毛舉細故を以て精明の名を巿る。皆な偏なり。聖人の寬厚は人をして恃む所有らしめず、聖人の精明は人をして容るる所無からしめず。敦大の中に自ら分曉有り。
現代語訳
ある種の人は、悪人をその場しのぎで扱うことで寛厚の名を買います。ある種の人は、細かなことを毛筋まで挙げることで精明の名を買います。どちらも偏りです。聖人の寛厚は、人に頼りにさせるところを作りません。聖人の精明は、人に居場所を無くさせません。厚く大きいなかに自ずと見分けがあります。
解説
寛厚と精明の、それぞれの偽物を挙げます。悪人を見逃して寛厚の名を買う人、細かなことを挙げて精明の名を買う人。どちらも名を買っている点で同じです。そして本物の条件が示されます。寛厚でも頼りにさせず、精明でも居場所を無くさせない。片方に振り切らない状態で、厚く大きいなかに見分けがあると結ばれます。名を買う二つの型を、同時に退けた一段です。
この章句が説くこと
寛厚精明偽物名見分け
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