呻吟語 / 内篇・修身・精明を渾厚の裡に藏す
精明也要十分,只須藏在渾厚裡作用。古今得禍,精明人十居其九,未有渾厚而得禍者。今之人惟恐精明不至,乃所以為愚也。
新字:精明也要十分,只須蔵在渾厚裡作用。古今得禍,精明人十居其九,未有渾厚而得禍者。今之人惟恐精明不至,乃所以為愚也。
書き下し
精明も也た十分を要す、只だ須らく渾厚の裡に藏して作用すべし。古今禍を得るは、精明の人十に九を居る。未だ渾厚にして禍を得る者有らず。今の人惟だ精明の至らざるを恐る。乃ち愚と為る所以なり。
現代語訳
鋭く明らかであることも十分に必要です。ただそれを大らかさの内側にしまって使わねばなりません。昔から今まで災いに遭うのは、鋭く明らかな人が十のうち九を占めます。大らかな人が災いに遭った例はありません。今の人はただ鋭さが足りないことばかり恐れています。それこそが愚かなのです。
解説
鋭さそのものは否定していません。十分に持て、と言っています。問題は、それを外に出すかどうかです。鋭さが見えると人は身構え、隙を探します。だから大らかさの内側にしまって使えと言うのです。災いに遭う十人のうち九人が鋭い人だという数字の挙げ方に、観察の重みがあります。切れ味を磨く前に、鞘を用意せよということです。
この章句が説くこと
精明渾厚隠す災い処世
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