呻吟語 / 外篇・治道・其の甚だしき者一二を芟る
聖君賢相在位,不必將在朝小人一網盡去之,只去元惡大奸,每種芟其甚者一二,示吾意向之所在。彼群小眾邪與中人之可惡者莫不回心向道,以逃吾之所去,舊惡掩覆不暇,新善積累不及,而何敢怙終以自溺邪?故舉皋陶,不仁者遠;去四凶,不仁者亦遠。
新字:聖君賢相在位,不必将在朝小人一網尽去之,只去元悪大奸,毎種芟其甚者一二,示吾意向之所在。彼群小眾邪与中人之可悪者莫不回心向道,以逃吾之所去,旧悪掩覆不暇,新善積累不及,而何敢怙終以自溺邪?故舉皋陶,不仁者遠;去四凶,不仁者亦遠。
書き下し
聖君賢相位に在らば、必ずしも朝に在る小人を將て一網に盡く之を去らず。只だ元惡大奸を去り、每種其の甚だしき者一二を芟りて、吾が意向の在る所を示す。彼の群小眾邪と中人の惡む可き者は、心を回らし道に向かひて、以て吾の去る所を逃れざる莫し。舊惡を掩覆するに暇あらず、新善を積累するに及ばず。而して何ぞ敢へて怙終して以て自ら溺れんや。故に皋陶を舉げて、不仁者遠ざかり、四凶を去りて、不仁者亦た遠ざかる。
現代語訳
聖なる君と賢い宰相が位にあれば、朝廷の小人を一網打尽にする必要はありません。ただ大悪人と大奸物を除き、それぞれの種類で最もひどい者を一人二人刈り取って、自分の意向のあるところを示します。多くの小人や邪な者、憎むべき並みの人も、心を改めて道に向かい、自分が除かれる側から逃れようとします。古い悪を覆い隠す暇も、新しい善を積み重ねる余裕もありません。それでどうして頼み続けて自ら溺れるでしょうか。だから皋陶を挙げて不仁者が遠ざかり、四凶を除いて不仁者もまた遠ざかりました。
解説
粛清の方法を、量ではなく象徴で語ります。全員を除くのではなく、種類ごとに最もひどい者を一人二人。それで意向が伝われば、残りは自分で改めます。人を除くことより、方向を示すことが目的だということです。そして舜の二つの例が引かれます。良い人を挙げることと悪い人を除くこと、どちらも同じ効果を生んだとされます。
この章句が説くこと
粛清象徴意向皋陶四凶
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