呻吟語 / 外篇・治道・小人を以て小人を去る
洗漆以油,洗污以灰,洗油以膩,去小人以小人,此古今妙手也。昔人明此意者幾?故以君子去小人,正治之法也。正治是堂堂之陣,妙手是玄玄之機。玄玄之機,非聖人不能用也。
書き下し
漆を洗ふに油を以てし、污を洗ふに灰を以てし、油を洗ふに膩を以てす。小人を去るに小人を以てするは、此れ古今の妙手なり。昔人此の意を明らかにする者幾ばくぞ。故に君子を以て小人を去るは、正治の法なり。正治は是れ堂堂の陣、妙手は是れ玄玄の機なり。玄玄の機は、聖人に非ずんば用ふる能はざるなり。
現代語訳
漆を落とすのに油を使い、汚れを落とすのに灰を使い、油を落とすのに脂を使います。小人を除くのに小人を使うのは、古今の妙手です。昔の人でこの意を明らかにした者がどれほどいるでしょうか。だから君子で小人を除くのは、正面から治める法です。正面から治めるのは堂々の陣であり、妙手は玄妙な機です。玄妙な機は、聖人でなければ用いることができません。
解説
同質のもので落とすという原理を、三つの例で示します。漆には油、汚れには灰、油には脂。そこから小人を小人で除く手が導かれます。ただしそれは玄妙な機であって、聖人でなければ使えないと釘が刺されます。正面から君子で除くのが堂々の陣。二つを並べたうえで、難しいほうには資格が要ると明示した、慎重な一段になっています。
この章句が説くこと
同質妙手正治資格玄機
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