呻吟語 / 外篇・治道・天下を以て一人の命に易へず
聖人不以天下易一人之命,後世乃以天下之命易一身之尊,悲夫!吾不知得天下將以何為也。
新字:聖人不以天下易一人之命,後世乃以天下之命易一身之尊,悲夫!吾不知得天下将以何為也。
書き下し
聖人は天下を以て一人の命に易へず。後世は乃ち天下の命を以て一身の尊に易ふ。悲しいかな。吾知らず、天下を得て將に何を以て為さんとするかを。
現代語訳
聖人は天下を一人の命と引き換えにしません。後の世は天下の命を一身の尊さと引き換えにします。悲しいことです。私には分かりません、天下を得て何をしようというのでしょうか。
解説
交換の向きを、二つ並べて逆転を示します。聖人は天下を得るために一人の命も犠牲にせず、後世は天下の命を自分一人の尊さに換える。数も向きも正反対です。そして最後に問いが置かれます。天下を得て何をしようというのか。目的が抜け落ちていることを突く問いで、前に出てきた、天が君を立てたのは民のためだという段と対応しています。
この章句が説くこと
交換逆転一人の命目的尊さ
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