呻吟語 / 外篇・治道・君欲一にして彼欲百
人君有欲,前後左右之幸也。君欲一,彼欲百,致天下亂亡,則一欲者受禍,而百欲者轉事他人矣。此古今之明鑑,而有天下者之所當悟也。
新字:人君有欲,前後左右之幸也。君欲一,彼欲百,致天下乱亡,則一欲者受禍,而百欲者転事他人矣。此古今之明鑑,而有天下者之所当悟也。
書き下し
人君に欲有れば、前後左右の幸なり。君の欲は一にして、彼の欲は百なり。天下の亂亡を致さば、則ち一欲の者は禍を受けて、百欲の者は轉じて他人に事ふ。此れ古今の明鑑にして、天下を有つ者の當に悟るべき所なり。
現代語訳
君主に欲があれば、前後左右にいる者の幸いです。君の欲は一つで、彼らの欲は百です。天下を乱れ亡ぼせば、一つの欲を持った者が禍を受け、百の欲を持った者は他人に仕え替えます。これが古今の明らかな鑑であり、天下を持つ者が悟るべきことです。
解説
上の欲が周りに与える機会を、数で示します。君の欲は一つでも、それに乗じる者の欲は百。実際に膨らむのは周りの欲です。そして結末が対比されます。滅べば一つの欲を持った者だけが禍を受け、百の欲を持った者は次の主人に仕える。損をするのは本人だけだという構図で、私欲を戒める理由が利害の側から示された一段です。
この章句が説くこと
欲乗じる百対一結末利害
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