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呻吟語 / 外篇・治道・民を富ますは王道の首務

余每食雖無肉味,而蔬食菜羹嘗足。因嘆曰:「嗟夫!使天下皆如此而後盜可誅也。」枵腹菜色,盜亦死,不盜亦死。夫守廉而俟死,此士君子之所難也。奈何以不能士君子之行而遂誅之乎?此富民為王道之首務也。

新字:余毎食雖無肉味,而蔬食菜羹嘗足。因嘆曰:「嗟夫!使天下皆如此而後盗可誅也。」枵腹菜色,盗亦死,不盗亦死。夫守廉而俟死,此士君子之所難也。奈何以不能士君子之行而遂誅之乎?此富民為王道之首務也。

書き下し

余は每食肉味無しと雖も、而して蔬食菜羹嘗て足る。因りて嘆じて曰く、「嗟夫、天下をして皆な此の如くならしめて後に盜誅す可きなり」と。枵腹菜色なれば、盜むも亦た死し、盜まざるも亦た死す。夫れ廉を守りて死を俟つは、此れ士君子の難しとする所なり。奈何ぞ士君子の行を能くせざるを以て遂に之を誅せんや。此れ民を富ますが王道の首務為る所以なり。

現代語訳

私は毎食肉が無くても、野菜の飯と菜の羹はいつも足りています。そこで嘆いて言いました。ああ、天下がみなこうなって初めて盗みを誅せるのだ、と。腹が空で顔色が青ければ、盗んでも死に、盗まなくても死にます。廉潔を守って死を待つのは、士君子でさえ難しいことです。どうして士君子の行いができないという理由で誅せるでしょうか。これが民を富ますことが王道の第一の務めである理由です。

解説

処罰の前提条件を、自分の食卓から語り起こします。肉は無いが野菜の飯は足りている。その水準が全員にあって初めて、盗みを罰せると言います。理由は明快で、飢えていれば盗んでも盗まなくても死ぬからです。そして廉潔を守って死ぬのは士君子でも難しい。それを民に求めて罰するのは筋が通りません。富民が第一の務めとされる根拠になっています。
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この章句が説くこと

富民条件飢え処罰前提

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