呻吟語 / 外篇・治道・泰の極は其れ懼る可し
暑之將退也先燠,天之將旦也先晦。投丸於壁,疾則內射,物極則反,不極則不反也。故愚者惟樂其極,智者先懼其反。然則否不害於極,泰極其可懼乎!
新字:暑之将退也先燠,天之将旦也先晦。投丸於壁,疾則内射,物極則反,不極則不反也。故愚者惟楽其極,智者先懼其反。然則否不害於極,泰極其可懼乎!
書き下し
暑の將に退かんとするや先づ燠く、天の將に旦けんとするや先づ晦し。丸を壁に投ずるに、疾ければ則ち內に射る。物極まれば則ち反り、極まらざれば則ち反らざるなり。故に愚者は惟だ其の極を樂しみ、智者は先づ其の反るを懼る。然らば則ち否は極に害あらず、泰の極は其れ懼る可し。
現代語訳
暑さが退こうとするときはまず蒸し暑くなり、天が明けようとするときはまず暗くなります。玉を壁に投げれば、速いほど内へ跳ね返ります。物は極まれば反り、極まらなければ反りません。だから愚かな者はただその極まりを楽しみ、智恵ある者はまずその反りを恐れます。とすれば、塞がりは極まっても害が無く、通りの極まりこそ恐れるべきです。
解説
極まれば反るという原理を、三つの例で示します。暑さの前の蒸し暑さ、夜明け前の闇、そして壁に投げた玉。速く投げるほど強く跳ね返る、という比喩が効いています。そこから結論が導かれます。塞がりは極まっても悪くならず、通りが極まったときこそ恐れるべき。良い状態の絶頂を警戒するという、この書に繰り返し現れる主題です。
この章句が説くこと
極反絶頂否泰跳ね返り警戒
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