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呻吟語 / 内篇・應務・利七にして害三

君子動大事十利而無一害,其舉之也,必矣。然天下無十利之事,不得已而權其分數之多寡,利七而害三則吾全其利而防其害。又較其事勢之輕重,亦有九害而一利者為之,所利重而所害輕也,所利急而所害緩也,所利難得而所害可救也,所利久遠而所害一時也。此不可與淺見薄識者道。

新字:君子動大事十利而無一害,其舉之也,必矣。然天下無十利之事,不得已而権其分数之多寡,利七而害三則吾全其利而防其害。又較其事勢之軽重,亦有九害而一利者為之,所利重而所害軽也,所利急而所害緩也,所利難得而所害可救也,所利久遠而所害一時也。此不可与浅見薄識者道。

書き下し

君子の大事を動かすは、十利にして一害無ければ、其の之を舉ぐるや必せり。然れども天下に十利の事無し。已むを得ずして其の分數の多寡を權る。利七にして害三なれば則ち吾其の利を全うして其の害を防ぐ。又た其の事勢の輕重を較ぶれば、亦た九害にして一利なる者も之を為す有り。利する所重くして害する所輕ければなり。利する所急にして害する所緩ければなり。利する所得難くして害する所救ふ可ければなり。利する所久遠にして害する所一時なればなり。

現代語訳

君子が大事を動かすとき、十の利があって一つの害も無ければ、必ず行います。しかし天下に十すべてが利という事はありません。やむを得ず割合の多少を量ります。利が七で害が三なら、利を全うして害を防ぎます。さらに事の勢いの軽重を比べれば、九つが害で一つだけ利という場合でも行うことがあります。利するところが重く害するところが軽いからです。利するところが急で害するところが緩いからです。利するところが得がたく害するところが救えるからです。利するところが長く遠く害するところが一時だからです。

解説

損得の判断を、数ではなく重み付けで行うことを説きます。九対一で不利に見えても、重さ、急ぎ、得がたさ、持続の四つを比べれば実行すべき場合がある。反対意見は数を数えますが、こちらは中身を量ります。意思決定の技術として、四つの評価軸が具体的に示された一段になっています。意思決定の技術として、四つの評価軸が示されています。

この章句が説くこと

利害重み評価軸決断割合

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