呻吟語 / 外篇・治道・偶然の事に因りて不變の法を立つ
在上者能使人忘其尊而親之,可謂盛德也已。因偶然之事,立不變之法;懲一夫之失,苦天下之人。法莫病於此矣。近日建白,往往而然。
新字:在上者能使人忘其尊而親之,可謂盛徳也已。因偶然之事,立不変之法;懲一夫之失,苦天下之人。法莫病於此矣。近日建白,往往而然。
書き下し
上に在る者能く人をして其の尊を忘れて之に親しましむれば、盛德と謂ふ可きのみ。偶然の事に因りて、不變の法を立て、一夫の失を懲らして、天下の人を苦しむ。法は此れより病めるは莫し。近日の建白は、往往にして然り。
現代語訳
上に立つ者が、人にその尊さを忘れて親しませられれば、盛んな徳と言えます。たまたまの出来事によって変えられない法を立て、一人の失敗を懲らすために天下の人を苦しめる。法にこれより悪い病はありません。近ごろの建言は、しばしばこうなっています。
解説
一つの事故から恒久の規則を作ることを、法の最悪の病だと言います。一人の失敗を懲らすために全員が苦しむからです。範囲と原因が釣り合っていません。そして近ごろの建言がしばしばこうだと指摘されます。冒頭に、尊さを忘れさせて親しませる徳が置かれているのも効いていて、遠ざける規則の増殖と対比されています。規則が増える理由を、一句で言い当てた一段です。
この章句が説くこと
偶発恒久法一人全体釣り合い
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