呻吟語 / 外篇・治道・令甲を著す者
著令甲者,凡以示天下萬世,最不可草率,草率則行時必有滯礙;最不可含糊,含糊則行者得以舞文;最不可疏漏,疏漏則出於吾令之外者無以憑藉,而行者得以專輒。
新字:著令甲者,凡以示天下万世,最不可草率,草率則行時必有滞礙;最不可含糊,含糊則行者得以舞文;最不可疏漏,疏漏則出於吾令之外者無以憑藉,而行者得以専輒。
書き下し
令甲を著す者は、凡そ以て天下萬世に示す。最も草率なる可からず。草率なれば則ち行ふ時必ず滯礙有り。最も含糊なる可からず。含糊なれば則ち行ふ者文を舞はすを得。最も疏漏なる可からず。疏漏なれば則ち吾が令の外に出づる者憑藉する無くして、行ふ者專輒するを得。
現代語訳
法令を作る者は、天下万世に示すのです。何より粗雑であってはいけません。粗雑なら実行のとき必ず滞りが生じます。何より曖昧であってはいけません。曖昧なら実行する者が文をもてあそべます。何より抜けがあってはいけません。抜けがあれば、令の外に出た事柄に拠り所が無く、実行する者が勝手に決められます。
解説
法令の三つの欠陥と、それぞれの帰結を対応させます。粗雑なら滞る、曖昧なら文をもてあそばれる、抜けがあれば勝手に決められる。後の二つが要点で、欠陥がそのまま実行者の裁量になります。つまり作り手の手抜きが、現場の恣意に変換されるわけです。天下万世に示すという前置きが、責任の重さを示しています。法の文言を精密にせよという、実務的で具体的な一段になっています。
この章句が説くこと
法令粗雑曖昧抜け恣意
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