呻吟語 / 外篇・治道・亂常の政
為政先以扶持世教為主。在上者一舉措間,而世教之隆污、風俗之美惡繫焉。若不管大體何如,而執一時之偏見,雖一事未為不得,而風化所傷甚大,是謂亂常之政。先王慎之。
新字:為政先以扶持世教為主。在上者一舉措間,而世教之隆污、風俗之美悪繋焉。若不管大体何如,而執一時之偏見,雖一事未為不得,而風化所傷甚大,是謂乱常之政。先王慎之。
書き下し
政を為すは先づ世教を扶持するを以て主と為す。上に在る者の一舉措の間にして、世教の隆污、風俗の美惡繫かる。若し大體の何如を管せずして、一時の偏見を執らば、一事は未だ得ざると為さずと雖も、風化の傷むる所甚だ大なり。是れを亂常の政と謂ふ。先王之を慎む。
現代語訳
政治を行うには、まず世の教えを支えることを主とします。上に立つ者の一つの振る舞いに、世の教えが盛んになるか濁るか、風俗が美しくなるか悪くなるかが懸かっています。もし大きな筋を顧みず、一時の偏った見方に固執するなら、その一事は誤りでないとしても、教化を傷つけることは非常に大きい。これを常を乱す政治と言います。先王はこれを慎みました。
解説
一つの施策の正しさと、それが与える影響を分けます。その一事は間違っていなくても、教化を傷つければ常を乱す政治だと言います。判断の単位が、案件ではなく世の空気に置かれているわけです。上に立つ者の振る舞いが手本として読まれるからで、正しさだけでは足りません。前の段の大体と合わせて読むと、案件ごとの正解を積み上げても政治にならない、という一貫した主張が見えてきます。
この章句が説くこと
世教風俗影響偏見乱常
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