呻吟語 / 外篇・治道・兵農分かる
寓兵於農,三代聖王行之甚好,家家知耕,人人知戰,無論即戎,亦可弭盜,且經數十百年不用兵。說用兵,才用農十分之一耳。何者?有不道之國則天子命曰:「某國不道,某方伯連師討之。」天下無與也,天下所以享兵農未分之利。春秋以後,諸侯日尋干戈,農胥變而為兵,舍穡不事則吾國貧,因糧於敵則他國貧。與其農胥變而兵也,不如兵農分。
新字:寓兵於農,三代聖王行之甚好,家家知耕,人人知戦,無論即戎,亦可弭盗,且経数十百年不用兵。説用兵,才用農十分之一耳。何者?有不道之国則天子命曰:「某国不道,某方伯連師討之。」天下無与也,天下所以享兵農未分之利。春秋以後,諸侯日尋干戈,農胥変而為兵,舎穡不事則吾国貧,因糧於敵則他国貧。与其農胥変而兵也,不如兵農分。
書き下し
兵を農に寓するは、三代の聖王之を行ふこと甚だ好し。家家耕すを知り、人人戰ふを知る。戎に即くを論ずる無く、亦た以て盜を弭む可し。且つ數十百年を經て兵を用ひず。用兵を說くも、才かに農の十分の一を用ふるのみ。何者ぞ。不道の國有らば則ち天子命じて曰く、「某國不道なり、某方伯連師之を討て」と。天下與る無きなり。天下の兵農未だ分かれざるの利を享くる所以なり。春秋以後は、諸侯日に干戈を尋ね、農胥く變じて兵と為る。穡を舍きて事とせずんば則ち吾が國貧し。糧を敵に因らば則ち他國貧し。其の農胥く變じて兵と為るよりは、兵農分かるるに如かず。
現代語訳
兵を農に寄せるのは、三代の聖王が行って実によいものでした。家ごとに耕すことを知り、人ごとに戦うことを知ります。戦に就く場合はもちろん、盗みを止めることもできます。しかも数十年百年、兵を用いません。兵を用いると言っても、農の十分の一を使うだけです。なぜか。道に外れた国があれば、天子が命じて、某国は道に外れている、某方伯が師を連ねて討てと言います。天下は関わりません。だから天下が兵と農の分かれない利を享受できたのです。春秋より後は諸侯が日々干戈を交え、農がみな兵に変わりました。収穫を捨てて事としなければ自国が貧しくなり、糧を敵に頼れば他国が貧しくなります。農がみな兵に変わるくらいなら、兵と農を分けたほうがましです。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『墨子』魯問子墨子、公尚過を越に游ばしむ。公尚過、越王に説く。越王、大いに説び、公尚過に謂いて曰く、「先生、茍くも能く子墨子をして越に於いて寡人を教えしめば、請う、故吳の地、方五百里を裂きて以て子墨子に封ぜん」と。公尚過、許諾す。遂に公尚過の為に車五十乗を束ね、以て子墨子を魯に迎えて曰く、「吾れ夫子の道を以て越王に説く。越王、大いに悦びて過に謂いて曰く、『茍くも能く子墨子をして越に至りて寡人を教えしめば、請う、故吳の地、方五百里を裂きて以て子を封ぜん』と」。子墨子、公尚過に謂いて曰く、「子、越王の志を觀るに何若。意うに越王、将に吾が言を聴き、吾が道を用いんとせば、則ち翟、将に往かんとす。腹を量りて食い、身を度りて衣し、自ら羣臣に比せん。奚んぞ能く封を以て為さんや。抑そも越、吾が言を聴かず、吾が道を用いずして、我れ往かば、則ち是れ我れ義を以て糶るなり。之を糶るに鈞しくんば、亦た中國に於いてするのみ。何ぞ必ずしも越に於いてせんや」と。
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『墨子』備城門凡そ圍城を守るの法、厚くして以て髙く、壕や深くして以て廣く、樓撕・揗守の備え、繕い利し。薪食は以て三月以上に交うるに足り、人衆は以て選び、吏尺は和し、大臣の上に功勞有る者は多く、主は信にして義を以てし、萬民、之を樂しむこと窮まり無し。然らずんば、父母の墳墓、焉に在り。然らずんば、山林草澤の饒、利するに足る。然らずんば、地形の攻め難くして守り易きなり。然らずんば、則ち敵に深き怨み有りて上に大功有り。然らずんば、則ち賞、眀らかにして信ず可く、罰、嚴にして畏るるに足るなり。
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『墨子』七患今、其の子を負いて汲む者有り、其の子を井中に隊とせば、其の母は必ず従いて之を拯わん。今、嵗凶に、民饑え、道に餓うるは、此の疚み、子を隊とすより重し。其れ察する無かる可けんや。故に時年、嵗善ければ、則ち民は仁にして且つ良し。時年、嵗凶なれば、則ち民は吝にして且つ惡し。夫れ民に何の常か之れ有らん。為す者寡く、食らう者衆ければ、則ち嵗に豐なること無し。故に曰く、「財足らざれば則ち之を時に反り、食足らざれば則ち之を用に反る」と。故に先民は時を以て財を生じ、本を固くして財を用う、則ち財足る。故に上世の聖王と雖も、豈に能く五榖をして常に收まらしめて、旱水をして至らざらしめんや。然れども凍餓の民無き者は、何ぞや。其の力むること時に急にして、自ら養うこと儉なればなり。故に夏書に曰く「禹に七年の水あり」、殷書に曰く「湯に五年の旱あり」と。此れ其の凶餓に離るること甚し。然れども民の凍餓せざる者は、何ぞや。其の財を生ずること密にして、其の之を用うること節なればなり。
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『墨子』經說上故。小故は、之れ有るも必ずしも然らず、之れ無ければ必ず然らず。體なり、端有るが若し。大故は、之れ有れば必ず然ること無し、之を見て見を成すが若し。體は、二の一、尺の端の若きなり。知材。知なる者は、知る所以なり。而して必ず知る、眀の若し。慮。慮なる者は、其の知を以て求むる有るなり。而して必ずしも之を得ず、睨るが若し。知。知なる者は、其の知を以て物に過り、而して能く之を貌るなり。見るが若し。恕。恕なる者は、其の知を以て物を論じ、而して其の之を知るや著し。眀の若し。仁。己を愛するは、己を用うるが為に非ず、愛の焉に著しきに若かず。眀の若し。義。志、天下を以て芬と為し、而して能く之を利す。必ずしも用いられず。禮。貴き者は公とし、賤しき者は名とす。而して倶に敬僈有り、等しくして論を異にするなり。行。為す所、名を善くせざるは行なり。為す所、名を善くするは巧なり、盜を為すが若し。
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