呻吟語 / 外篇・治道・雪夜呻吟の苦を忘る
鰥寡孤獨、疲癃殘疾、顛連無告之失所者,惟冬為甚。故凡詠紅爐錦帳之歡、忘雪夜呻吟之苦者,皆不仁者也。
新字:鰥寡孤独、疲癃残疾、顛連無告之失所者,惟冬為甚。故凡詠紅炉錦帳之歓、忘雪夜呻吟之苦者,皆不仁者也。
書き下し
鰥寡孤獨、疲癃殘疾、顛連無告にして所を失ふ者は、惟だ冬を甚だしと為す。故に凡そ紅爐錦帳の歡を詠じて、雪夜呻吟の苦を忘るる者は、皆な不仁なる者なり。
現代語訳
身寄りの無い者、老い病み障りのある者、行き倒れて訴えるあてもなく居場所を失った者は、冬がとりわけひどい。だから赤い炉と錦の帳の喜びを詠んで、雪の夜に呻き苦しむ者を忘れる者は、みな不仁な者です。
解説
冬という季節を、弱い立場の人にとって最も厳しい時として示します。そのうえで、暖かい部屋の喜びを詠む詩人を不仁だと断じます。喜びを詠むこと自体ではなく、忘れることが責められているのが要点です。同じ夜に呻いている人がいると知っているかどうか。詩の作法を、そのまま仁の判定に使った珍しい一段になっています。
この章句が説くこと
冬弱者忘却不仁同時
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