呻吟語 / 外篇・治道・正を以て人を富貴にす
人才邪正,世道為之也。世道污隆,君相為之也。君人者何嘗不費富貴哉?以正富貴人,則小人皆化為君子;以邪富貴人,則君子皆化為小人。
書き下し
人才の邪正は、世道之を為すなり。世道の污隆は、君相之を為すなり。人に君たる者は何ぞ嘗て富貴を費やさざらんや。正を以て人を富貴にせば、則ち小人皆な化して君子と為る。邪を以て人を富貴にせば、則ち君子皆な化して小人と為る。
現代語訳
人材が邪であるか正であるかは、世の道がそうさせます。世の道が濁るか高まるかは、君と宰相がそうさせます。人の君たる者が、富貴を費やさないことがあるでしょうか。正しさによって人を富み貴くすれば、小人もみな君子に変わります。邪によって人を富み貴くすれば、君子もみな小人に変わります。
解説
人材の質を、世の道に、世の道を君相に、三段で遡ります。そして手段が一つ名指されます。富貴を与えることです。どのみち与えるのだから、何に対して与えるかで結果が決まる。正しさに与えれば小人も君子になり、邪に与えれば君子も小人になる。人の質が固定されておらず、報いの向きで反転するという構図が要点です。人の質が固定されていないという前提が、効いています。
この章句が説くこと
人材世道富貴報い反転
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