呻吟語 / 外篇・治道・多寡強弱は必ず較ぶる所に在り
兩精兩備,兩勇兩智,兩愚兩意,則多寡強弱在所必較。
新字:両精両備,両勇両智,両愚両意,則多寡強弱在所必較。
書き下し
兩つながら精しく兩つながら備はり、兩つながら勇にして兩つながら智、兩つながら愚にして兩つながら意あらば、則ち多寡強弱は必ず較ぶる所に在り。
現代語訳
双方が精しく双方が備わり、双方が勇にして双方が智、双方が愚にして双方が意を持つなら、多いか少ないか強いか弱いかが必ず比べられるところになります。
解説
条件が同じ場合、数と力が勝敗を決めると言います。当たり前に見えますが、これは次の段への前置きです。同じなら数で決まるのだから、同じにしないことが勝負になる。六つの項目が列挙され、どれも次の段で片方だけが持つ形に組み替えられます。兵法の議論を、条件の非対称という一点から組み立てた導入部です。当たり前を先に置いて、次の転換を際立たせています。
この章句が説くこと
対等数力比べる前置き
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『呻吟語』外篇・治道・其の乘ずる所を得ると人の乘ずる所と為ると精を以て雜に乘じ、備を以て疏に乘じ、勇を以て怯に乘じ、智を以て愚に乘じ、餘り有るを以て足らざるに乘じ、意有るを以て意あらざるに乘じ、決を以て二三に乘じ、合德を以て離心に乘じ、銳を以て疲に乘じ、慎を以て怠に乘ぜば、則ち多寡強弱は論ずる所に非ず。故に戰の勝負は他無し、其の乘ずる所を得ると人の乘ずる所と為ると、其の得失は啻だに百のみならず。實は精なるも、之に示すに雜を以てし、實は備はるも、之に示すに疏を以てし、實は勇なるも、之に示すに怯を以てし、實は智なるも、之に示すに愚を以てし、實は餘り有るも、之に示すに足らざるを以てし、實は意有るも、之に示すに意あらざるを以てし、實は決有るも、之に示すに二三を以てし、實は合德なるも、之に示すに離心を以てし、實は銳なるも、之に示すに疲を以てし、實は慎なるも、之に示すに怠を以てせば、則ち多寡強弱も亦た論ずる所に非ず。故に之に乘ずるの可否は他無し、其の示す所を知ると、其の示す所無きを知ると、其の得失も亦た啻だに百のみならず。故に其の示す所を藏さざるは、凶なり。誤りて示す所に中たるは、凶なり。此れ將家の審らかにするを務むる所なり。
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