呻吟語 / 外篇・治道・處置宜しきを得
鳥獸來必無知覺,而謂三軍之士無良心可乎?亂法壞政,以激軍士之暴,以損國家之威,以動天下之心,以開無窮之釁,當事者之罪,不容誅矣。裴度所謂韓洪輿疾討賊,承宗斂手削地。非朝廷之力能制其死命,特以處置得宜,能服其心故耳。
新字:鳥獣来必無知覚,而謂三軍之士無良心可乎?乱法壊政,以激軍士之暴,以損国家之威,以動天下之心,以開無窮之釁,当事者之罪,不容誅矣。裴度所謂韓洪輿疾討賊,承宗斂手削地。非朝廷之力能制其死命,特以処置得宜,能服其心故耳。
書き下し
鳥獸來たるに必ず知覺無し。而るに三軍の士に良心無しと謂ふ可けんや。法を亂し政を壞りて、以て軍士の暴を激し、以て國家の威を損し、以て天下の心を動かし、以て無窮の釁を開くは、當事者の罪、誅に容れられざるなり。裴度の所謂、韓洪疾を輿して賊を討ち、承宗手を斂めて地を削ると。朝廷の力の能く其の死命を制するに非ず。特に處置宜しきを得て、能く其の心を服せしむるを以ての故なるのみ。
現代語訳
鳥や獣が来るのに必ず知覚が無いとは言えません。まして三軍の兵に良心が無いと言えるでしょうか。法を乱し政を壊して、軍士の暴発を招き、国家の威を損ない、天下の心を動かし、尽きることのない亀裂を開くのは、当事者の罪であって、誅しても足りません。裴度が言った、韓洪が病を押して輿で賊を討ち、王承宗が手を引いて土地を削ったと。朝廷の力が彼らの死命を制したのではありません。ただ処置が適切で、その心を服させたからです。
解説
兵にも良心があるという前提を置き直します。だから暴発は自然に起こるのではなく、法を乱し政を壊した側が招いたものです。そして裴度の例が引かれます。病を押して討つ者と、自ら土地を削る者。どちらも強制ではなく心服の結果でした。力が及ばない相手を動かしたのは処置の適切さだけだ、とされ、次の段でその四字が抜き出されます。
この章句が説くこと
良心暴発裴度心服処置
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