呻吟語 / 外篇・治道・當に棄市すべき者は誰ぞ
漢始興郡守某者,御州兵,常操之內免操二月,繼之者罷操,又繼之者常給之外冬加酒銀人五錢,又繼之者加肉銀人五錢,又繼之者加花布銀人一兩。倉庫不足,括稅給之,猶不足,履畝加賦給之。兵不見德也,而民怨又繼之者,曰:「加吾不能,而損吾不敢。」競無加。兵相與鼓噪曰:「郡長無恩。」率怨民以叛,肆行攻掠。元帝命刺史按之,報曰:「郡守不職,不能撫鎮軍民,而致之叛。」竟棄市。嗟夫!當棄市者誰耶?識治體者為之傷心矣。
新字:漢始興郡守某者,御州兵,常操之内免操二月,継之者罷操,又継之者常給之外冬加酒銀人五銭,又継之者加肉銀人五銭,又継之者加花布銀人一両。倉庫不足,括税給之,猶不足,履畝加賦給之。兵不見徳也,而民怨又継之者,曰:「加吾不能,而損吾不敢。」競無加。兵相与鼓噪曰:「郡長無恩。」率怨民以叛,肆行攻掠。元帝命刺史按之,報曰:「郡守不職,不能撫鎮軍民,而致之叛。」竟棄市。嗟夫!当棄市者誰耶?識治体者為之傷心矣。
書き下し
漢の始興郡守某なる者、州兵を御し、常操の內に操を免ずること二月。之を繼ぐ者操を罷む。又た之を繼ぐ者常給の外に冬に酒銀人ごとに五錢を加ふ。又た之を繼ぐ者肉銀人ごとに五錢を加ふ。又た之を繼ぐ者花布銀人ごとに一兩を加ふ。倉庫足らず、稅を括りて之を給す。猶ほ足らず、畝を履みて賦を加へて之を給す。兵は德を見ざるなり。而して民怨む。又た之を繼ぐ者曰く、「吾に加ふること能はず、而して吾に損ずるは敢へてせず」と。競に加ふる無し。兵相ひ與に鼓噪して曰く、「郡長恩無し」と。怨民を率ゐて以て叛き、肆に攻掠を行ふ。元帝刺史に命じて之を按ぜしむ。報じて曰く、「郡守職ならず、軍民を撫鎮する能はずして、之を叛くに致す」と。竟に棄市せらる。嗟夫、當に棄市すべき者は誰ぞ。治體を識る者は之が為に傷心す。
現代語訳
漢の始興の郡守某が州兵を率い、通常の訓練のうち二か月を免除しました。後任は訓練をやめました。さらに後任は通常の支給のほか冬に酒代を一人五銭加えました。さらに後任は肉代を一人五銭加えました。さらに後任は花布代を一人一両加えました。倉庫が足りず、税をかき集めて支給しました。それでも足りず、土地を測って賦を加えて支給しました。兵は恵みと思いません。そして民が怨みます。さらに後任が言いました。私には加えられず、減らすこともできない。結局何も加えませんでした。兵は騒ぎ立てて言いました。郡長に恩が無い。怨む民を率いて背き、思うままに攻め奪いました。元帝が刺史に調べさせました。報告に言う。郡守が職を果たさず、軍民を鎮められず背かせた。ついに市中で処刑されました。ああ、処刑されるべきだったのは誰でしょうか。治の筋を知る者は、これを痛みます。
解説
この章句が説くこと
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