呻吟語 / 外篇・治道・法を行ふこと嚴ならずんば、法無きに如かず
防奸之法,畢竟疏於作姦之人。彼作姦者,拙則作偽以逃防,巧則就法以生弊,不但去害,而反益其害。彼作者十,而犯者一耳。又輕其罪以為未犯者勸,法奈何得行?故行法不嚴,不如無法。
新字:防奸之法,畢竟疏於作姦之人。彼作姦者,拙則作偽以逃防,巧則就法以生弊,不但去害,而反益其害。彼作者十,而犯者一耳。又軽其罪以為未犯者勧,法奈何得行?故行法不厳,不如無法。
書き下し
奸を防ぐの法は、畢竟姦を作すの人に疏なり。彼の姦を作す者は、拙なれば則ち偽を作して以て防を逃れ、巧なれば則ち法に就きて以て弊を生ず。但だ害を去らざるのみならず、反つて其の害を益す。彼の作す者は十にして、犯す者は一のみ。又た其の罪を輕くして以て未だ犯さざる者の勸めと為さば、法奈何ぞ行はるるを得ん。故に法を行ふこと嚴ならずんば、法無きに如かず。
現代語訳
悪事を防ぐ法は、結局は悪事を働く人より粗いものです。悪事を働く者は、不器用なら偽って防ぎを逃れ、巧みなら法に沿って弊害を生みます。害を除かないどころか、かえって害を増やします。悪事を働く者は十人いて、捕まる者は一人だけです。それでいて罪を軽くして、まだ犯していない者への勧めにするなら、法はどうして行われるでしょうか。だから法を行うのが厳しくなければ、法が無いほうがましです。
解説
法が悪事に追いつかない理由を示します。不器用な者は偽って逃れ、巧みな者は法に沿って弊害を生む。法に沿うほうが厄介だというのが要点で、違反せずに害をなします。さらに十人働いて一人しか捕まらない。その一人の罪まで軽くすれば、法は勧めに変わります。だから厳しくないなら無いほうがましだと結ばれ、中途半端な運用が最も悪いとされます。
この章句が説くこと
防奸脱法検挙率寛刑中途半端
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