呻吟語 / 外篇・治道・道德一にして風俗同じ
聖主在上,只留得一種天理、民彝、經常之道在,其餘小道、曲說、異端、橫議斬然芟除,不遺餘類。使天下之人易耳改目、洗心濯慮,於一切亂政之術,如再生,如夢覺,若未嘗見聞。然後道德一而風俗同,然後為純王之治。
新字:聖主在上,只留得一種天理、民彝、経常之道在,其余小道、曲説、異端、横議斬然芟除,不遺余類。使天下之人易耳改目、洗心濯慮,於一切乱政之術,如再生,如夢覚,若未嘗見聞。然後道徳一而風俗同,然後為純王之治。
書き下し
聖主上に在れば、只だ一種の天理・民彝・經常の道を留め得て在り。其の餘の小道・曲說・異端・橫議は斬然として芟除し、餘類を遺さず。天下の人をして耳を易へ目を改め、心を洗ひ慮りを濯ぎ、一切亂政の術に於て、再生の如く、夢覺の如く、未だ嘗て見聞せざるが若くならしむ。然る後に道德一にして風俗同じく、然る後に純王の治と為る。
現代語訳
聖主が上にあれば、ただ一種の天の理と民の常と経常の道だけを留め置きます。それ以外の小道や曲説や異端や勝手な議論は、きっぱり刈り取って一つも残しません。天下の人に耳を替え目を改めさせ、心を洗い思いを濯がせ、すべての政を乱す術について、生まれ変わったように、夢から覚めたように、かつて見聞きしたことも無いようにさせます。その後に道徳が一つになり風俗が同じになり、その後に純粋な王の治となります。
解説
思想の統一を、はっきり治の条件として掲げます。留めるのは天理と民彝と経常の道だけで、他は刈り取ると言います。生まれ変わったように、夢から覚めたようにという表現が、その徹底ぶりを示しています。この書は諸派の長所をよく認めますが、統治の場面では一本化を求める。前に出てきた、こじつけの話が世の六七割を占めるという段と合わせると、乱す言説への警戒が背景にあると分かります。
この章句が説くこと
統一天理異端刈り取る風俗
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