呻吟語 / 外篇・治道・微を知り彰を知る
天下之禍,成於怠忽者居其半,成於激迫者居其半。惟聖人能銷禍於未形,弭思於既著。夫是之謂知微知彰。知微者不動聲色,要在能察幾;知彰者不激怒濤,要在能審勢。嗚呼!非聖人之智,其誰與於此?
新字:天下之禍,成於怠忽者居其半,成於激迫者居其半。惟聖人能銷禍於未形,弭思於既著。夫是之謂知微知彰。知微者不動声色,要在能察幾;知彰者不激怒濤,要在能審勢。嗚呼!非聖人之智,其誰与於此?
書き下し
天下の禍は、怠忽に成る者其の半ばに居り、激迫に成る者其の半ばに居る。惟だ聖人のみ能く禍を未形に銷し、思を既著に弭む。夫れ是れを微を知り彰を知ると謂ふ。微を知る者は聲色を動かさず、要は幾を察するを能くするに在り。彰を知る者は怒濤を激せず、要は勢を審らかにするを能くするに在り。嗚呼、聖人の智に非ずんば、其れ誰か此に與らん。
現代語訳
天下の禍は、怠り忽せにして成るものが半分、激しく迫って成るものが半分です。ただ聖人だけが禍をまだ形にならないうちに消し、憂いをすでに現れた後に止められます。これを、微かなものを知り明らかなものを知ると言います。微かなものを知る者は声も色も動かさず、肝心なのは兆しを察することにあります。明らかなものを知る者は怒る波を激さず、肝心なのは勢いを見極めることにあります。ああ、聖人の智でなければ、誰がこれに与れるでしょうか。
解説
禍の原因を、怠りと激しさで半々に分けます。放っておくのも、強く押すのも同じだけ禍を生む。だから対処も二つになります。まだ形にならないうちは兆しを察して静かに消す。すでに現れた後は勢いを見極めて波を激さない。どちらも声を荒げず波を立てない点で共通しています。前に出てきた、小さいうちは正しひどくなれば従うという段と、同じ二段構えになっています。
この章句が説くこと
怠忽激迫兆し勢い二段
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