呻吟語 / 外篇・治道・溢を裁するの道
民情既溢,裁之為難。裁溢如割駢拇贅疣,人甚不堪。故裁之也欲令民堪,有漸而已矣。安靜而不震激,此裁溢之道也。
新字:民情既溢,裁之為難。裁溢如割駢拇贅疣,人甚不堪。故裁之也欲令民堪,有漸而已矣。安静而不震激,此裁溢之道也。
書き下し
民情既に溢るれば、之を裁すること難しと為す。溢を裁するは駢拇贅疣を割くが如く、人甚だ堪へず。故に之を裁するや民をして堪へしめんと欲せば、漸有るのみ。安靜にして震激せざる、此れ溢を裁するの道なり。
現代語訳
民の情がすでに溢れてしまえば、これを裁つのは難しい。溢れを裁つのは、余分な指やこぶを切り取るようなもので、人はとても堪えられません。だからこれを裁つのに民が堪えられるようにしたければ、じわじわやるしかありません。静かにして激しく震わせない。これが溢れを裁つやり方です。
解説
溢れた欲を削るときの痛みを、余分な指やこぶを切る比喩で示します。要らないものでも、切るのは痛い。だから堪えられるようにするには、じわじわやるしかありません。ここで漸が、悪い方向ではなく治療の方法として使われているのが面白いところです。じわじわ溢れたものは、じわじわしか戻せない。静かに震わせないという条件が、具体的な手つきを示しています。
この章句が説くこと
溢裁つ痛み漸静か
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