呻吟語 / 外篇・治道・何ぞ其れ定靜なる
官多設而數易,事多議而屢更,生民之殃未知所極。古人慎擇人而久任,慎立政而久行。一年如是,百千年亦如是。不易代不改政,不弊事不更法。故百官法守一,不敢作聰明以擅更張;百姓耳目一,不至亂聽聞以乖政令。日漸月漬,莫不遵上之紀綱法度以淑其身,習上之政教號令以成其俗。譬之寒暑不易,而興作者歲歲有持循焉;道路不易,而往來者年年知遠近焉。何其定靜!何其經常!何其相安!何其易行!何其省勞費!
新字:官多設而数易,事多議而屢更,生民之殃未知所極。古人慎択人而久任,慎立政而久行。一年如是,百千年亦如是。不易代不改政,不弊事不更法。故百官法守一,不敢作聰明以擅更張;百姓耳目一,不至乱聴聞以乖政令。日漸月漬,莫不遵上之紀綱法度以淑其身,習上之政教号令以成其俗。譬之寒暑不易,而興作者歳歳有持循焉;道路不易,而往来者年年知遠近焉。何其定静!何其経常!何其相安!何其易行!何其省労費!
書き下し
官多く設けて數しば易へ、事多く議して屢しば更むれば、生民の殃ひ未だ極まる所を知らず。古人は慎みて人を擇びて久しく任じ、慎みて政を立てて久しく行ふ。一年も是の如く、百千年も亦た是の如し。代を易へずんば政を改めず、事を弊せずんば法を更めず。故に百官の法守は一にして、敢へて聰明を作して擅に更張せず。百姓の耳目は一にして、聽聞を亂して以て政令に乖くに至らず。日に漸み月に漬りて、上の紀綱法度に遵ひて以て其の身を淑くせざる莫く、上の政教號令に習ひて以て其の俗を成さざる莫し。之を寒暑の易はらずして、興作する者歲歲循る持する有るに譬ふ。道路の易はらずして、往來する者年年遠近を知るなり。何ぞ其れ定靜なる。何ぞ其れ經常なる。何ぞ其れ相ひ安んずる。何ぞ其れ行ひ易き。何ぞ其れ勞費を省く。
現代語訳
官を多く設けてしばしば替え、事を多く議してしばしば改めれば、民の災いはどこまで行くか分かりません。古人は慎んで人を選んで長く任せ、慎んで政を立てて長く行いました。一年もそうで、百千年もそうでした。代が替わらなければ政を改めず、事が傷まなければ法を改めません。だから百官の守る法は一つで、あえて知恵を働かせて勝手に変えません。百姓の耳目は一つで、聞くことが乱れて政令に背くことがありません。日々染み月々浸って、上の紀綱と法度に従って身を善くしない者はなく、上の政教と号令に習って俗を成さない者はありません。寒暑が変わらないから、仕事をする者が年々拠り所を持つのに譬えられます。道路が変わらないから、行き来する者が年々遠近を知るのです。なんと落ち着いていることか。なんと常であることか。なんと互いに安んじることか。なんと行いやすいことか。なんと労と費えを省くことか。
解説
この章句が説くこと
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