呻吟語 / 外篇・治道・重典を用ふ
振玩興廢,用重典;懲奸止亂,用重典;齊眾摧強,用重典。
新字:振玩興廃,用重典;懲奸止乱,用重典;斉眾摧強,用重典。
書き下し
玩を振るひ廢を興すには、重典を用ふ。奸を懲らし亂を止むるには、重典を用ふ。眾を齊へ強を摧くには、重典を用ふ。
現代語訳
だらけを奮い立たせ廃れを興すには、重い刑罰を用います。悪を懲らし乱れを止めるには、重い刑罰を用います。人々を揃え強い者をくじくには、重い刑罰を用います。
解説
重い刑罰を使う場面を、三つに限って挙げます。だらけの一掃、悪の抑止、強者の抑え込み。前の段で法は激しすぎるなと言った直後に置かれているのが要点で、原則は緩やかでも、場面によっては重い手が要ると示されます。そしてその場面が三つに限定されているため、常用は否定されています。緩急を場面で分ける立場が、二つの段の並びで明快になっています。
この章句が説くこと
重典三場面限定緩急抑止
関連する章句
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『呻吟語』外篇・治道・威を用ひ法を行ふに三豫有り威を用ひ法を行ふには、宜しく三豫有るべし。一に曰く上下の情通ず、二に曰く惠愛素より孚す、三に曰く公道容れ難し。此の如くんば則ち死すと雖も人怨む無し。
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『呻吟語』外篇・治道・禮は嚴にして法は恕禮は重くして法は輕く、禮は嚴にして法は恕なり。此の二者は常に相ひ權るなり。故に禮は嚴ならざるを得ず。嚴ならざれば則ち肆にして法に入る。法は恕ならざるを得ず。恕ならざれば則ち激して法窮まる。
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『呻吟語』外篇・治道・之を畏れしむるは之を愧ぢしむるに如かず知るを要す、刑を用ふる本意は原と教を弼くる為なり。苟しくも寬にして能く教へば、更に是れ聖德の人を感ぜしむるにして、更に妙手の作用を見る。若し只だ雷霆の威、霜雪の法を恃まば、民は畏るるを知りて愧づるを知らず。畏る可き無き時を待たば、依舊として惡を為す。何ぞ能く化を成さん。故に之を畏れしむるは之を愧ぢしむるに如かず。之を忿るは之を訓ふるに如かず。之を遠ざくるは之を感ぜしむるに如かず。
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『呻吟語』外篇・治道・禮行はるれば則ち刑措く禮と刑と二者は常に相ひ資くるなり。禮先にして刑後なり。禮行はるれば則ち刑措き、刑行はるれば則ち禮衰ふ。
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『呻吟語』外篇・治道・禮に遠ざかれば則ち刑に近づく刑禮は二物に非ざるなり。皆な人をして善に遷りて惡を去らしむるなり。故に禮に遠ざかれば、則ち刑に近づく。
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『呻吟語』外篇・治道・賞淫人に及べば賞淫人に及べば則ち善なる者は賞を以て榮と為さず。罰善人に及べば則ち惡なる者は罰を以て辱と為さず。是の故に君子は輕く恩を施さず。恩を施せば則ち勸む。輕く罰を動かさず。罰を動かせば則ち懲らす。