呻吟語 / 外篇・治道・天下の憂ひに先んずる者
築基樹臬者,千年之計也;改弦易轍者,百年之計也;興廢補敝者,十年之計也;堊白黝青者,一時之計也。因仍苟且,勢必積衰。助波覆傾,反以裕蠱。先天下之憂者,可以審矣。
新字:築基樹臬者,千年之計也;改弦易轍者,百年之計也;興廃補敝者,十年之計也;堊白黝青者,一時之計也。因仍苟且,勢必積衰。助波覆傾,反以裕蠱。先天下之憂者,可以審矣。
書き下し
基を築き臬を樹つるは、千年の計なり。弦を改め轍を易ふるは、百年の計なり。廢を興し敝を補ふは、十年の計なり。白を堊り青を黝るは、一時の計なり。因仍苟且なれば、勢ひ必ず積衰す。波を助けて傾を覆せば、反つて以て蠱を裕にす。天下の憂ひに先んずる者は、以て審らかにす可し。
現代語訳
土台を築き目印を立てるのは千年の計です。弦を張り替え轍を変えるのは百年の計です。廃れたものを興し傷んだものを補うのは十年の計です。白く塗り青く黒くするのは一時の計です。旧習に従い間に合わせにすれば、勢いは必ず衰えを積み重ねます。波を助けて傾きを倒せば、かえって害虫を太らせます。天下の憂いに先んじる者は、これをはっきり見分けるべきです。
解説
施策を、効き目の長さで四段に分けます。土台づくりが千年、方向転換が百年、修繕が十年、塗り替えが一時。どれも必要ですが、どの段の仕事をしているのか自覚せよという分類です。そして旧習に従うだけなら衰えが積み重なると言います。天下の憂いに先んじるという有名な句を最後に置き、まずこの見分けからだとします。自分の仕事の時間尺度を測る物差しとして、実用的な一段になっています。
この章句が説くこと
時間尺度四段土台塗り替え見分け
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