呻吟語 / 外篇・品藻・當疏當密、一に道を准とす
精神只顧得一邊,任你聰明智巧,有所密必有所疏。惟平心率物,無毫髮私意者,當疏當密,一准予道而人自相忘。
新字:精神只顧得一辺,任你聰明智巧,有所密必有所疏。惟平心率物,無毫髪私意者,当疏当密,一准予道而人自相忘。
書き下し
精神は只だ一邊を顧み得。你が聰明智巧に任すも、密なる所有らば必ず疏なる所有り。惟だ心を平らかにし物に率ひ、毫髮の私意無き者のみ、當に疏なるべく當に密なるべき、一に道を准として人自ら相忘る。
現代語訳
精神は片側しか見られません。どれほど聡明で智恵と技巧があっても、細かく行き届いた所があれば、必ず疎かな所があります。ただ心を平らかにし物に従い、毛ほどの私心も無い者だけが、疎かにすべき所と細かくすべき所を、ただ道に照らして決め、人も自ずと互いを忘れます。
解説
注意の総量が限られていることを前提にします。だから行き届いた所があれば必ず疎かな所がある。能力では解決しません。解決は私心を無くすことで、そうすれば配分が道に従って決まり、誰も不満を持たない。注意の配分を、能力ではなく私心の有無で論じた一段です。疎かな所を無くそうとせず、配分の根拠を正す構えです。能力では解けない問題だと示されています。
この章句が説くこと
注意総量配分私心疎密
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