呻吟語 / 内篇・存心・心一たび執著すれば、萬事自然を得ず
心一鬆散,萬事不可收拾;心一疏忽,萬事不入耳目;心一執著,萬事不得自然。
新字:心一鬆散,万事不可収拾;心一疏忽,万事不入耳目;心一執著,万事不得自然。
書き下し
心一たび鬆散すれば、萬事收拾す可からず。心一たび疏忽すれば、萬事耳目に入らず。心一たび執著すれば、萬事自然を得ず。
現代語訳
心がひとたび緩んで散れば、万事は収拾がつきません。心がひとたびおろそかになれば、万事は耳にも目にも入りません。心がひとたび固く執着すれば、万事は自然のままになりません。
解説
心の三つの外れ方が並べられます。緩んで散る、おろそかになる、固く執着する。前の二つは足りない側、三つ目は過ぎた側です。引き締めればよいという話ではないことが、三つ目によって示されます。固く握りすぎれば自然が失われる、と。緩むのと固まるのが同じように失敗として扱われるところに、この書の均衡感覚が出ています。
この章句が説くこと
鬆散疏忽執著過不足均衡
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