呻吟語 / 外篇・品藻・明迷は明知して陷溺す
迷迷易悟,明迷難醒。明迷愚,迷明智。迷人之迷,一明則跳脫;明人之迷,明知而陷溺。明人之明,不保其身;迷人之明,默操其柄。明明可與共太平,明迷可與共患憂。
新字:迷迷易悟,明迷難醒。明迷愚,迷明智。迷人之迷,一明則跳脫;明人之迷,明知而陥溺。明人之明,不保其身;迷人之明,黙操其柄。明明可与共太平,明迷可与共患憂。
書き下し
迷迷は悟り易く、明迷は醒め難し。明迷は愚、迷明は智なり。迷人の迷は、一たび明らかなれば則ち跳脫す。明人の迷は、明知して陷溺す。明人の明は、其の身を保たず。迷人の明は、默かに其の柄を操る。明明は與に太平を共にす可く、明迷は與に患憂を共にす可し。
現代語訳
迷っている者の迷いは悟りやすく、明るい者の迷いは醒めにくい。明るい者の迷いは愚かであり、迷っている者の明るさは智恵です。迷う人の迷いは、ひとたび明らかになれば抜け出せます。明るい人の迷いは、はっきり知りながら溺れます。明るい人の明るさは、その身を保てません。迷う人の明るさは、黙って権柄を握ります。明るくて明らかな人とは太平を共にでき、明るくて迷う人とは患いを共にできます。
解説
明と迷を掛け合わせて四通りを作り、それぞれの性質を示します。最も抜け出しにくいのが、明るい人の迷い。分かっていながら溺れるからです。そして明るさが表に出る人は身を保てず、迷って見える人が黙って権を握るとされます。外見と実力の逆転が、四つの組み合わせで描かれた一段です。自覚があることが、かえって脱出を妨げるという逆説です。
この章句が説くこと
明迷四通り自覚溺れる逆転
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