呻吟語 / 外篇・品藻・我願はくは履を曳き鞭を執らん
有憂世之實心,泫然欲淚,有濟世之實才,施處輒宜。斯人也,我願為曳履執鞭。若聚談紙上,微言不關國家治忽;爭走塵中,眾轍不知黎庶死生,即品格有清濁,均於宇宙無補也。
新字:有憂世之実心,泫然欲涙,有済世之実才,施処輒宜。斯人也,我願為曳履執鞭。若聚談紙上,微言不関国家治忽;争走塵中,眾轍不知黎庶死生,即品格有清濁,均於宇宙無補也。
書き下し
世を憂ふるの實心有りて、泫然として淚せんと欲し、世を濟ふの實才有りて、施す處輒ち宜し。斯の人や、我願はくは履を曳き鞭を執らん。若し紙上に聚談して、微言も國家の治忽に關らず、塵中に爭走して、眾轍も黎庶の死生を知らずんば、即ち品格に清濁有るも、均しく宇宙に補ふ無きなり。
現代語訳
世を憂える本当の心があって涙を流しそうになり、世を救う本当の才があって施せばどこでも当たる。そういう人になら、私は履を引きずり鞭を執って仕えたい。もし紙の上で集まって談じ、細やかな言葉が国家の治乱に関わらず、塵の中で走り競い、多くの轍が民の生き死にを知らないなら、品格に清濁の差があっても、等しく宇宙に何の足しにもなりません。
解説
仕えたい相手の条件を二つ挙げます。本当の憂いと、本当の才。どちらも実が伴っていることが条件です。そして二種の無駄が対比されます。紙上の議論と、塵中の奔走。清と濁の差があっても、どちらも役に立たない点では同じだとされます。清濁の別を無効にする、厳しい判定です。清と濁の別を無効にする、厳しい判定になっています。紙上の議論も塵中の奔走も、役に立たない点で同じです。
この章句が説くこと
憂世実才紙上奔走無用
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