呻吟語 / 外篇・品藻・太和中より發出す
太和中發出,金石可穿,何況民物有不孚格者乎?
新字:太和中発出,金石可穿,何況民物有不孚格者乎?
書き下し
太和中より發出せば、金石も穿つ可し。何ぞ況んや民物の孚格せざる者有らんや。
現代語訳
大いなる和の中から発すれば、金や石さえ穿てます。まして民や物で、信じ通じないものがあるでしょうか。
解説
感化の力を、和の中から出るかどうかに置きます。和から出れば金石さえ穿つ。だから人や物なら言うまでもない、と。前に出てきた、誠が通れば鳥の卵が雛に化すという段と同じ主張で、こちらは硬さの極みである金石を持ち出すことで、和の柔らかさとの対比が際立っています。硬さの極みを持ち出すことで、和の柔らかさが際立ちます。
この章句が説くこと
太和感化金石通じる柔剛
関連する章句
-
『呻吟語』内篇・應務・鳥の卵を抱くを孚と曰ふ中孚は、妙の至りなり。天を格し物を動かすは形跡言語に在らず。事為は之れ末なり。苟しくも誠の以て之に孚する無くんば、諸は皆な糟粕のみ。徒らに勤むるも義に益無し。鳥の卵を抱くを孚と曰ふ。爪に從ひ子に從ふ。血氣潛かに入りて子母に隨ひて化す。豈に聲色に在らんや、豈に造作を事とせんや。學者此を悟らば、自ら天を怨み人を尤めず。
-
『呻吟語』内篇・修身・太和の道に事へて以て自ら廣む聖人の道は、太和のみ。故に萬物皆な育す。便ち是れ秋冬も其の太和爲るを害せず。況んや太和又た未だ嘗て秋冬宇宙の間に在らずんばあらざるをや。余は性褊にして、弘度・平心・溫容・巽語無し。願はくは太和の道に事へて以て自ら廣めん。
-
『呻吟語』外篇・天地・太和我に在らば天地我に在り太和我に在らば、則ち天地我に在り。何ぞ動きて臧からざらん、何ぞ往きて得ざらん。
-
『呻吟語』外篇・治道・柔を用ひて剛と為す大を細に圖れば、力を勞せず、財を費やさず、聲色を動かさずして、暗かに百倍の功を收む。柔を用ひて剛と為せば、愈いよ涵容し、愈いよ愧屈し、愈いよ腹心に契ひ、化して兩人の美と作る。
-
『呻吟語』外篇・天地・雷霆霜雪都て是れ太和知るを要す、雷霆霜雪都て是れ太和なることを。
-
『呻吟語』外篇・廣喻・一柔は以て剛を馴らす可し兩物交はれば必ず聲有り、兩人交はれば必ず爭ひ有り。聲有るは、兩剛の故なり。兩柔なれば則ち聲無く、一柔一剛も亦た聲無し。爭ひ有るは、兩貪の故なり。兩讓なれば則ち爭ひ無く、一貪一讓も亦た爭ひ無し。抑も進む有り、一柔は以て剛を馴らす可く、一讓は以て貪を化す可し。