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呻吟語 / 外篇・品藻・與に其の刻ならんよりは寧ろ恕せよ

譬之舞文吏出入人罪,惟其所欲,求其有大公至正之見,死者復生。而響服者幾人?是生者肆口,而死者含冤也。噫!使臧否人物者,而出於無聞之士,猶昔人之幸也。彼擅著作之名,號為一世人傑,而立言不慎,則是獄成於廷尉,就死而莫之辯也,不仁莫大焉。是故君子之論人,與其刻也寧恕。

新字:譬之舞文吏出入人罪,惟其所欲,求其有大公至正之見,死者復生。而響服者幾人?是生者肆口,而死者含冤也。噫!使臧否人物者,而出於無聞之士,猶昔人之幸也。彼擅著作之名,号為一世人傑,而立言不慎,則是獄成於廷尉,就死而莫之弁也,不仁莫大焉。是故君子之論人,与其刻也寧恕。

書き下し

之を舞文の吏の人を罪に出入し、惟だ其の欲する所なるに譬ふ。其の大公至正の見を求むるに、死者復た生きて響服する者幾人ぞ。是れ生者は口を肆にして、死者は冤を含むなり。噫、人物を臧否する者にして、無聞の士より出でば、猶ほ昔人の幸ひなり。彼は著作の名を擅にし、一世の人傑と號す。而して言を立つるに慎まざれば、則ち是れ獄の廷尉に成りて、死に就きて之を辯ずる莫きなり。不仁焉より大なるは莫し。是の故に君子の人を論ずるは、與に其の刻ならんよりは寧ろ恕せよ。

現代語訳

これを、文を弄する役人が思うままに人を罪に出し入れするのにたとえます。大いに公けで至って正しい見方を求めても、死者が生き返って納得する者が何人いるでしょうか。これは生きている者が口をほしいままにし、死んだ者が冤罪を抱えているということです。ああ、人物の善悪を論ずる者が無名の士であるなら、まだ昔の人にとって幸いです。著作の名をほしいままにし、一世の傑物と称される者が、言葉を立てるのに慎まなければ、それは裁判が最高裁で確定し、死刑になっても弁じる者がいないのと同じです。これ以上の不仁はありません。だから君子が人を論ずるときは、厳しくするよりはむしろ寛く許すのです。

解説

歴史の人物評を、裁判にたとえます。書く側が思うままに罪を出し入れし、死者は弁明できません。しかも有名な著者が書けば確定判決になる。だから影響力のある人ほど慎むべきだとされます。そして結論は寛恕。前に出てきた、察しすぎるより許しすぎよという段と同じ判断になっています。影響力のある人ほど慎むべきだ、という結論です。
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この章句が説くこと

人物評冤罪影響力寛恕慎み

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