呻吟語 / 外篇・品藻・君子の跡を借る者
小人有恁一副邪心腸,便有一段邪見識;有一段邪見識,便有一段邪議論;有一段邪議論,便引一項邪朋黨,做出一番邪舉動。其議論也,援引附會,盡成一家之言,攻之則圓轉遷就而本可破;其舉動也,借善攻善,匿惡濟惡,善為騎牆之計,擊之則疑似牽纏而不可斷。此小人之尤,而借君子之跡者也。
新字:小人有恁一副邪心腸,便有一段邪見識;有一段邪見識,便有一段邪議論;有一段邪議論,便引一項邪朋党,做出一番邪舉動。其議論也,援引附会,尽成一家之言,攻之則円転遷就而本可破;其舉動也,借善攻善,匿悪済悪,善為騎牆之計,擊之則疑似牽纏而不可断。此小人之尤,而借君子之跡者也。
書き下し
小人に恁の一副の邪心腸有れば、便ち一段の邪見識有り。一段の邪見識有れば、便ち一段の邪議論有り。一段の邪議論有れば、便ち一項の邪朋黨を引き、一番の邪舉動を做し出だす。其の議論や、援引附會して盡く一家の言を成す。之を攻むれば則ち圓轉遷就して破る可からず。其の舉動や、善を借りて善を攻め、惡を匿して惡を濟す。善く騎牆の計を為し、之を擊てば則ち疑似牽纏して斷ず可からず。此れ小人の尤にして、君子の跡を借る者なり。
現代語訳
小人にああいう邪な心があれば、そこから邪な見識が生まれます。邪な見識があれば邪な議論が生まれ、邪な議論があれば邪な仲間を引き入れ、邪な行動を起こします。その議論は、引用しこじつけてすっかり一家の説を成します。攻めれば言い回しを変えて逃げ、破れません。その行動は、善を借りて善を攻め、悪を隠して悪を遂げます。両にらみの策が巧みで、撃てば紛らわしく絡みついて断ち切れません。これは小人の中でも最たるもので、君子の姿を借りた者です。
解説
邪な心から行動までの五段の連鎖を示します。心、見識、議論、仲間、行動。そして厄介さの正体が描かれます。攻めれば言い回しを変え、撃てば紛らわしく絡む。善を借りて善を攻めるという手口が最も巧妙で、君子の姿を借りているぶん見分けがつかない一段になっています。君子の姿を借りているぶん、見分けがつかないのです。
この章句が説くこと
小人連鎖偽装両にらみ見分け
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