呻吟語 / 外篇・聖賢・入る所無き故に入らざる所無し
物之入物者染物,入於物者染於物;惟聖人無所入,萬物亦不得而入之。惟無所入,故無所不入。惟不為物入,故物亦不得而離之。
新字:物之入物者染物,入於物者染於物;惟聖人無所入,万物亦不得而入之。惟無所入,故無所不入。惟不為物入,故物亦不得而離之。
書き下し
物の物に入る者は物を染め、物に入らるる者は物に染めらる。惟だ聖人のみ入る所無く、萬物も亦た得て之に入らず。惟だ入る所無し、故に入らざる所無し。惟だ物の入る所と為らず、故に物も亦た得て之を離れず。
現代語訳
物に入り込む者は物を染め、物に入られる者は物に染められます。ただ聖人だけは入り込むところがなく、万物もまた入り込めません。入り込むところが無いからこそ、入り込めないところもありません。物に入られないからこそ、物もまた離れられません。
解説
染めるか染められるかという二択を、どちらも取らない立場を示します。入らないから入れないところが無く、入られないから離れられない。二重の逆説です。特定の何かに深入りしないことが、あらゆるものに関われる条件になるという構図で、前に出てきた、見る所を持たない者だけが曇らないという段と重なります。深入りしないことが、あらゆるものに関われる条件です。
この章句が説くこと
染まる深入り逆説無所入関わり
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