孫子 / 九地篇
入人之地深,背城邑多者,為重地;
書き下し
人の地に入ること深く、背にする城邑多き者を、重地と為す。
現代語訳
敵の領内に深く入り、背後に多くの城や町を抱えている場合、そこを重地という。
解説
第六の地。敵地の奥深くで、退路に多くの敵の拠点がある状態である。重という字が示すのは、身動きの重さだ。引き返そうにも、背後に敵の町が並んでいる。軽地の反対で、覚悟が決まる代わりに自由が無い。事業でも、深く投資した後にこの状態になる。撤退コストが積み上がり、実質的に引き返せなくなる。孫子は重地では掠めよ、つまり現地で食糧を確保せよと言う。本国からの補給を当てにするなという意味である。これは事業に置き換えると鋭い。深入りした事業は、本社からの資金供給を前提にすると続かない。その場で稼ぐ形に切り替えるしかない。重地に入ったかどうかの判定は簡単だ。撤退のコストが、続けるコストを上回っているかどうかである。
この章句が説くこと
重地敵地深入り退路自活撤退コスト