呻吟語 / 外篇・聖賢・天命を畏れ、人窮を悲しむ
聖人心上再無分毫不自在處。內省不疚,既無憂懼,外至之患,又不怨尤,只是一段不釋然,卻是畏天命,悲人窮也。
新字:聖人心上再無分毫不自在処。内省不疚,既無憂懼,外至之患,又不怨尤,只是一段不釈然,却是畏天命,悲人窮也。
書き下し
聖人の心上に再び分毫も自在ならざる處無し。內に省みて疚しからざれば、既に憂懼無く、外至の患ひも、又た怨尤せず。只だ是れ一段の釋然たらざる、卻って是れ天命を畏れ、人窮を悲しむなり。
現代語訳
聖人の心には、少しも自在でないところがありません。内を省みて後ろ暗いところが無ければ憂いも恐れもなく、外から来る患いにも怨み咎めません。ただ一つだけ晴れないところがあります。それは天命を畏れ、人の窮乏を悲しむことです。
解説
聖人が完全に自在でありながら、一つだけ晴れないものを抱えていると言います。それが天命への畏れと、人の窮乏への悲しみです。自分のことでは何も曇らないのに、他者と天のことでだけ曇る。前に出てきた、一人が居場所を得なければ自分の体の傷だという段と同じ構図が、ここでも現れています。自分のことでは曇らず、他者と天のことでだけ曇るのです。
この章句が説くこと
自在畏天悲人晴れない他者
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