呻吟語 / 外篇・人情・其の難言の情を識る
人之情,有言然而意未必然,有事然而意未必然者,非勉強於事勢,則束縛於體面。善體人者要在識其難言之情,而不使其為言與事所苦。此聖人之所以感人心,而人樂為之死也。
新字:人之情,有言然而意未必然,有事然而意未必然者,非勉強於事勢,則束縛於体面。善体人者要在識其難言之情,而不使其為言与事所苦。此聖人之所以感人心,而人楽為之死也。
書き下し
人の情は、言然りと雖も意未だ必ずしも然らざる有り、事然りと雖も意未だ必ずしも然らざる者有り。事勢に勉強するに非ずんば、則ち體面に束縛せらる。善く人を體する者は、要は其の難言の情を識りて、其れをして言と事とに苦しむ所と為らしめざるに在り。此れ聖人の人心を感ぜしめて、人樂しみて之が為に死する所以なり。
現代語訳
人の情には、言葉はそうでも意はそうとは限らないものがあり、事はそうでも意はそうとは限らないものがあります。事の勢いに無理をしているのでなければ、体面に縛られているのです。上手に人を汲む者は、その言いにくい情を見分けて、その人が言葉と事に苦しめられないようにすることにあります。これが聖人が人の心を動かし、人が喜んでそのために死ぬ理由です。
解説
言葉や行いと本心がずれる理由を、二つ挙げます。事の勢いへの無理と、体面の束縛。どちらも本人の意ではありません。だから汲むべきは言いにくい情です。そして目標が示されます。その人が自分の言葉と行いに苦しめられないようにすること。前に出てきた、言う前と言葉に出ないところで工夫するという段の、具体的な中身になっています。
この章句が説くこと
言行本心体面難言汲む
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