呻吟語 / 外篇・世運・世道傷心す可し
士鮮衣美食,浮淡怪說、玩日愒時,而以農工為村鄙;女傅粉簪花、冶容學態、袖手樂游,而以勤儉為羞辱;官盛從豐供、繁文縟節、奔逐世態,而以教養為迂腐。世道可為傷心矣。
新字:士鮮衣美食,浮淡怪説、玩日愒時,而以農工為村鄙;女傅粉簪花、冶容学態、袖手楽游,而以勤倹為羞辱;官盛従豊供、繁文縟節、奔逐世態,而以教養為迂腐。世道可為傷心矣。
書き下し
士は鮮衣美食、浮淡怪說、日を玩び時を愒みて、農工を以て村鄙と為す。女は粉を傅け花を簪し、容を冶し態を學び、手を袖にして樂游して、勤儉を以て羞辱と為す。官は從を盛んにし供を豐かにし、繁文縟節、世態に奔逐して、教養を以て迂腐と為す。世道傷心す可し。
現代語訳
士は美しい衣と旨い食に浮ついた奇説を語り、日を弄び時を無駄にして、農や工を田舎くさいとします。女は白粉をつけ花を挿し、容色を飾り仕草を学び、手をこまぬいて遊び、勤勉と倹約を恥辱とします。官は供回りを増やし接待を厚くし、飾りの多い作法で世の風潮を追いかけ、教え養うことを古くさいとします。世の道は心を痛めるばかりです。
解説
士と女と官の三者について、それぞれの浮つきぶりを並べます。共通しているのは、本来の務めを古くさいとして退ける点です。農工、勤倹、教養。どれも地味で実のあるものばかりで、それが恥ずかしいとされる風潮が描かれています。当時の身分観が色濃い表現もありますが、価値の逆転を突いた一段です。地味で実のあるものが恥ずかしいとされる風潮が、描かれます。
この章句が説くこと
風潮浮薄価値逆転士官
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