呻吟語 / 外篇・天地・盆沼に開闢を看る
問:「天地開闢之初,其狀何似?」曰:「未易形容。」因指齋前盆沼,令滿貯帶沙水一盆,投以瓦礫數小塊,雜穀豆升許,令人攪水渾濁,曰:「此是混沌未分之狀。待三日後再來看開闢。」至日而濁者清矣,輕清上浮。曰:「此是天開於子。沉底渾泥,此是地辟於丑。中間瓦礫出露,此是山陵,是時穀豆芽生,月餘而水中小蟲浮沉奔逐,此是人與萬物生於寅。徹底是水,天包乎地之象也。地從上下,故山上銳而下廣,象糧穀堆也。氣化日繁華,日廣侈,日消耗,萬物毀而生機微。天地雖不毀,至亥而又成混沌之世矣。」
新字:問:「天地開闢之初,其状何似?」曰:「未易形容。」因指斎前盆沼,令満貯帯沙水一盆,投以瓦礫数小塊,雑穀豆升許,令人攪水渾濁,曰:「此是混沌未分之状。待三日後再来看開闢。」至日而濁者清矣,軽清上浮。曰:「此是天開於子。沈底渾泥,此是地辟於丑。中間瓦礫出露,此是山陵,是時穀豆芽生,月余而水中小虫浮沈奔逐,此是人与万物生於寅。徹底是水,天包乎地之象也。地従上下,故山上銳而下広,象糧穀堆也。気化日繁華,日広侈,日消耗,万物毀而生機微。天地雖不毀,至亥而又成混沌之世矣。」
書き下し
問ふ、「天地開闢の初め、其の狀何に似たるか」と。曰く、「未だ形容し易からず」と。因りて齋前の盆沼を指し、滿ちて沙を帶ぶる水一盆を貯へ、投ずるに瓦礫數小塊、穀豆升許を雜へ、人をして水を攪きて渾濁せしめて曰く、「此れは是れ混沌未分の狀なり。三日の後を待ちて再び來たりて開闢を看よ」と。日に至りて濁れる者清めり。輕清上に浮かぶ。曰く、「此れは是れ天の子に開くなり。底に沉む渾泥、此れは是れ地の丑に辟くなり。中間の瓦礫出露するは、此れは是れ山陵なり」と。
現代語訳
問う。天地が開けた初めは、どんな様子でしたか。答えて言う。たやすくは形容できません。そこで書斎の前のたらいを指し、砂の混じった水を一杯に張らせ、瓦礫を数個と穀物や豆を一升ほど投げ入れ、人にかき回させて濁らせて言いました。これが混沌の未だ分かれない様子です。三日後にまた来て開闢を見なさい。その日になると濁りは澄んでいました。軽く清いものが上に浮かびます。言いました。これが天が子の刻に開くということです。底に沈んだ泥、これが地が丑の刻に開くということです。中ほどの瓦礫が現れているのが山です。
解説
この章句が説くこと
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