呻吟語 / 外篇・天地・陰陽は萬物に原と相干せず
萬物生於陰陽,死於陰陽。陰陽於萬物原不相干,任其自然而已。雨非欲潤物,旱非欲熯物,風非欲撓物,雷非欲震物,陰陽任其氣之自然,而萬物因之以生死耳。《易》稱「鼓之以雷霆,潤之以風雨」,另是一種道理,不然,是天地有心而成化也。若有心成化,則寒暑災樣得其正,乃見天心矣。
新字:万物生於陰陽,死於陰陽。陰陽於万物原不相干,任其自然而已。雨非欲潤物,旱非欲熯物,風非欲撓物,雷非欲震物,陰陽任其気之自然,而万物因之以生死耳。《易》称「鼓之以雷霆,潤之以風雨」,另是一種道理,不然,是天地有心而成化也。若有心成化,則寒暑災様得其正,乃見天心矣。
書き下し
萬物は陰陽に生じ、陰陽に死す。陰陽は萬物に於て原と相干せず、其の自然に任するのみ。雨は物を潤さんと欲するに非ず、旱は物を熯さんと欲するに非ず、風は物を撓さんと欲するに非ず、雷は物を震はんと欲するに非ず。陰陽は其の氣の自然に任せて、萬物之に因りて以て生死するのみ。若し心有りて化を成さば、則ち寒暑災樣其の正を得て、乃ち天心を見んか。
現代語訳
万物は陰陽によって生まれ、陰陽によって死にます。陰陽は万物とは元来関わりがなく、ただ自然に任せているだけです。雨は物を潤そうとしているのではなく、日照りは物を焦がそうとしているのではなく、風は物を揺らそうとしているのではなく、雷は物を震わせようとしているのではありません。陰陽は気の自然に任せていて、万物がそれによって生き死にするだけです。もし心があって化を成すなら、寒暑も災いも吉兆も正しさを得て、そこに天の心が見えるはずです。
解説
自然現象に意図が無いことを、四つの例で繰り返します。雨も日照りも風も雷も、何かをしようとはしていない。万物が勝手に影響を受けているだけです。そして最後に反語が置かれます。もし天に心があるなら、寒暑も災いも正しく配分されるはずだ、と。現実がそうでないことが、意図の無さの証拠になっています。現実がそうでないことが、意図の無さの証拠になります。
この章句が説くこと
無意図自然雨風天心反語
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