呻吟語 / 外篇・天地・一噓一吸
噓氣自內而之外也,吸氣自外而之內也。天地之初噓為春,噓盡為夏,故萬物隨噓而生長;天地之初吸為秋,吸盡為冬,故萬物隨吸而收藏。噓者,上升陽氣也,陽主發;吸者,下降陰氣也,陰主成。噓氣溫,故為春夏;吸氣寒,故為秋冬。一噓一吸,自開闢以來至混沌之後,只這一絲氣有毫髮斷處,萬物滅,天地毀。萬物,天地之於也,一氣生死無不肖之。
新字:噓気自内而之外也,吸気自外而之内也。天地之初噓為春,噓尽為夏,故万物随噓而生長;天地之初吸為秋,吸尽為冬,故万物随吸而収蔵。噓者,上升陽気也,陽主発;吸者,下降陰気也,陰主成。噓気温,故為春夏;吸気寒,故為秋冬。一噓一吸,自開闢以来至混沌之後,只這一糸気有毫髪断処,万物滅,天地毀。万物,天地之於也,一気生死無不肖之。
書き下し
噓氣は內より外に之くなり、吸氣は外より內に之くなり。天地の初めの噓を春と為し、噓し盡くすを夏と為す。故に萬物は噓に隨ひて生長す。天地の初めの吸を秋と為し、吸ひ盡くすを冬と為す。故に萬物は吸に隨ひて收藏す。噓は、上升の陽氣なり、陽は發を主る。吸は、下降の陰氣なり、陰は成を主る。一噓一吸、開闢より以來混沌の後に至るまで、只だ這の一絲の氣なり。毫髮も斷ゆる處有らば、萬物滅し、天地毀る。
現代語訳
息を吐くのは内から外へ向かうことで、吸うのは外から内へ向かうことです。天地の初めの吐く息が春で、吐き尽くしたのが夏です。だから万物は吐く息に従って生い育ちます。天地の初めの吸う息が秋で、吸い尽くしたのが冬です。だから万物は吸う息に従って収め蔵します。吐くのは上る陽の気で、陽は発することを司ります。吸うのは下る陰の気で、陰は成すことを司ります。一つ吐き一つ吸う。天地が開けてから混沌の後に至るまで、ただこの一筋の気です。毛ほどでも断えるところがあれば、万物は滅び天地は壊れます。
解説
四季を、天地の一呼吸として描きます。春に吐き始め夏に吐き尽くし、秋に吸い始め冬に吸い尽くす。壮大な循環が、誰でも知っている呼吸の動作に重ねられます。そして最後に、この一筋の気が毛ほども断えれば万物が滅ぶと言います。前に出てきた、切れ目ができた時が生死の境だという段と同じ主張です。壮大な循環が、誰でも知る呼吸の動作に重ねられています。
この章句が説くこと
呼吸四季陰陽循環連続
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