呻吟語 / 外篇・天地・土は天地の全氣なり
水靜柔而動剛,金動柔而靜剛,木生柔而死剛,火生剛而死柔。土有剛有柔,不剛不柔,故金、木、水、火皆從鍾焉,得中故也,天地之全氣也。
新字:水静柔而動剛,金動柔而静剛,木生柔而死剛,火生剛而死柔。土有剛有柔,不剛不柔,故金、木、水、火皆従鍾焉,得中故也,天地之全気也。
書き下し
水は靜かに柔にして動けば剛なり。金は動けば柔にして靜かなれば剛なり。木は生ずれば柔にして死すれば剛なり。火は生ずれば剛にして死すれば柔なり。土は剛有り柔有り、剛ならず柔ならず。故に金・木・水・火は皆な從りて鍾まる。中を得ればなり。天地の全氣なり。
現代語訳
水は静かなときは柔らかく、動けば剛くなります。金は動けば柔らかく、静かなときは剛い。木は生きているときは柔らかく、死ねば剛い。火は生じるときは剛く、消えるときは柔らかい。土は剛さもあり柔らかさもあり、剛でも柔でもありません。だから金木水火はみな土に集まります。中を得ているからです。天地の全き気です。
解説
五行のうち四つについて、状態によって剛柔が入れ替わることを示します。そして土だけが、どちらでもあってどちらでもない。だから他の四つが集まるとされます。中庸を、性質を持たないことではなく、両方を含んで偏らないこととして描いた一段です。前に出てきた、中だけが名を持たないという段と通じます。中を、両方を含んで偏らないこととして描いています。
この章句が説くこと
五行剛柔土中全気
関連する章句
-
『呻吟語』外篇・天地・皆な母に歸す天地萬物は頭に到り來たれば皆な母に歸す。故に水・火・金・木は盡くる有りて、土は盡きず。何となれば、水・火・金・木は、氣は天に盡き、質は地に盡く。而して土に盡く可き無ければなり。故に真氣に歸する無く、真形に藏する無し。萬古磨滅す可からず。滅し了はれば更に開闢の時無し。所謂る混沌なる者は、真氣と真形と分かれざるなり。形氣混じて天地を生じ、形氣分かれて萬物を生ず。
-
『呻吟語』外篇・天地・水は柔に入りて剛に入らず水は質なり、萬物を以て用と為す。火は氣なり、萬物を以て體と為す。其の化するに及びては、同じく無跡に歸す。水の性は徐に、火の性は疾なり。故に水の物に入るや、火に因りて疾し。水に定氣有り、火に定氣無し。故に火は剛に附けば則ち剛、柔に附けば則ち柔なり。水は則ち柔に入りて剛に入らざるなり。
-
『呻吟語』外篇・天地・其の物を生ずるや亦た然り火の性は發揚、水の性は流動、木の性は條暢、金の性は堅剛、土の性は重厚なり。其の物を生ずるや亦た然り。
-
『呻吟語』内篇・性命・其の物を生ずるや亦た然り火性は發揚し、水性は流動し、木性は條暢し、金性は堅剛に、土性は重厚なり。其の物を生ずるや亦た然り。
-
『呻吟語』内篇・修身・一剛一柔を中と謂ふ兩柔は聲無し、合すればなり。一柔は聲無し、受くればなり。兩剛は必ず碎く、激すればなり。一剛は必ず損す、積めばなり。故に《易》は一剛一柔を取る。是れを中と謂ふ。以て天下の務めを成し、以て一身の德を和す。君子之を尚ぶ。
-
『呻吟語』外篇・天地・嚴寒は物を養ふ濕溫は物を生じ、濕熱は物を長じ、燥熱は物を成し、淒涼は物を殺し、嚴寒は物を養ふ。