呻吟語 / 内篇・修身・一剛一柔を中と謂ふ
兩柔無聲,合也;一柔無聲,受也。兩剛必碎,激也;一剛必損,積也。故《易》取一剛一柔,是謂乎中,以成天下之務,以和一身之德,君子尚之。
新字:両柔無声,合也;一柔無声,受也。両剛必砕,激也;一剛必損,積也。故《易》取一剛一柔,是謂乎中,以成天下之務,以和一身之徳,君子尚之。
書き下し
兩柔は聲無し、合すればなり。一柔は聲無し、受くればなり。兩剛は必ず碎く、激すればなり。一剛は必ず損す、積めばなり。故に《易》は一剛一柔を取る。是れを中と謂ふ。以て天下の務めを成し、以て一身の德を和す。君子之を尚ぶ。
現代語訳
柔らかいもの同士がぶつかっても音はしません。溶け合うからです。片方だけが柔らかくても音はしません。受け止めるからです。硬いもの同士がぶつかれば必ず砕けます。激しく当たるからです。片方だけが硬ければ必ず傷みます。当たりが積み重なるからです。だから易は一剛一柔を取ります。これを中と言い、これで天下の務めを成し、一身の徳を和らげます。君子はこれを尊びます。
解説
四つの組み合わせを音の有無で描き分けた、実に分かりやすい一段です。柔と柔、柔と剛は音がしない。剛と剛は砕け、片方だけが剛なら消耗する。そして最も良いのは一剛一柔だとします。すべて柔らかければ静かですが、務めは成りません。硬さと柔らかさを一つずつ持つことが、天下の仕事を成し遂げる条件になる。組織の中で誰と組むかを考えるときにも、そのまま使える見方です。
この章句が説くこと
剛柔衝突組み合わせ中調和
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