呻吟語 / 外篇・天地・乃ち時物を變ずるのみ
觀七十二候者,謂物知時,非也,乃時變物耳。
新字:観七十二候者,謂物知時,非也,乃時変物耳。
書き下し
七十二候を觀る者は、物時を知ると謂ふ。非なり。乃ち時物を變ずるのみ。
現代語訳
七十二候を観る者は、生き物が時を知っていると言います。違います。時が生き物を変えているだけです。
解説
暦の細かな区切りを見て、鳥や虫が季節を知っていると考える見方を退けます。知っているのではなく、変えられているのだ、と。主体を生き物から時の側へ移す見方です。自然の営みに意思を読み込む癖への訂正で、観察の姿勢を正した短い一段になっています。自然の営みに意思を読み込む癖への、訂正になっています。観察の姿勢を正した、短い一段です。

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見るこの章句が説くこと
暦七十二候主体観察訂正
関連する章句
-
『呻吟語』内篇・性命・君子の命は我に在り、小人の命も亦た我に在り命は本と天に在り。君子の命は我に在り、小人の命も亦た我に在り。君子は義を以て命に處り、其の道を以てせずして之を得れば處らず、命は道ふに足らざるなり。小人は欲を以て命を犯し、得可からずして必ず之を得んと欲す、命は受くるを肯ぜざるなり。但だ君子の命我に在りと謂ふは、天命の本然を得るなり。小人の命我に在りと謂ふは、氣數の或然を幸ふなり。是を以て君子の心は常に泰かに、小人の心は常に勞す。
-
『武士道』第十六章 武士道の命脈・日本の改新は全く自生した其の初、夢裏桃源の国を開きて海外諸国と通商し、生活の各方面に最新の発明を輸入し、泰西の政治、科学の研究に着手したる時、主として吾人を指導したる動機は、物質的財源の発達にも非らず、富力の増大にも非らず、いわんや泰西習俗の心酔踏襲にも非らざりしをや。東洋の制度民族を精察せるタウンゼンド氏は曰く、『吾人は日常、欧洲の日本を感化したることを聞きて、而して此島国の改新は全く自生し、欧洲は日本を教へず、日本は任意、欧洲に於ける文武制度の組織を学びて多大の功を成したるものなるを忘る。日本はあたかも先に土耳古が欧洲の砲術を輸入したる如くに、欧洲の機械、学術を輸入したり。されど英国の支那茶を購買するによりて感化せらるることあるにあらざるよりは、又た彼を目して感化なりと称するを得ず』と。
-
『格言聯璧』持躬類・立身行己は是れ我の主張天、我を苦しむるに境を以てせば、吾、吾が神を樂しましめて以て之を暢ぶ。 吉凶禍福は、是れ天の主張なり。 毀譽予奪は、是れ人の主張なり。 立身行己は、是れ我の主張なり。 富貴福澤を得んと要するは、天の主張にして、我に由り得ず。
-
論語・衛霊公篇子曰く、人能く道を弘む。道人を弘むるに非ず。
-
『春秋左氏伝』荘公二十八年 楚幕に烏あり楚の令尹子元文夫人を蠱せんと欲し、館を其の宮の側に爲りて、萬を振ふ。夫人之を聞き、泣きて曰く、「先君是の舞を以ってするや、戎備を習ふなり。今令尹諸を仇讎に尋ねずして、未亡人の側に於いてす。亦た異ならずや」と。禦人以って子元に告ぐ。子元曰く、「婦人すら仇を襲ふを忘れず、我反って之を忘る」と。秋、子元車六百乘を以って鄭を伐ち、桔柣の門に入る。子元・鬭禦疆・鬭梧・耿之不比旆と爲り、鬭班・王孫游・王孫喜殿す。眾車純門より入り、逵市に及ぶ。縣門發せず。楚言して出づ。子元曰く、「鄭に人有り」と。諸侯鄭を救ふ。楚の師夜遁る。鄭人將に桐丘に奔らんとす。諜告げて曰く、「楚の幕に烏有り」と。乃ち止む。冬、饑う。臧孫辰糴を齊に告ぐ、禮なり。郿に築く、都に非ざるなり。凡そ邑に宗廟先君の主有るを都と曰ひ、無きを邑と曰ふ。邑には築と曰ひ、都には城と曰ふ。
-
言志四録・言志録 第九十一条 月を看て宇宙を想ふ人の月を看るは、皆徒らに看るなり。須らく此に於て宇宙無窮の概を想ふべし。(乙亥中秋、月下に録す)