呻吟語 / 内篇・應務・多事の門を開く
情有可通,莫於舊有者過裁抑,以生寡恩之怨;事在得已,莫於舊無者妄增設,以開多事之門。若理當革、時當興,合於事勢人情,則非所拘矣。
新字:情有可通,莫於旧有者過裁抑,以生寡恩之怨;事在得已,莫於旧無者妄增設,以開多事之門。若理当革、時当興,合於事勢人情,則非所拘矣。
書き下し
情に通ず可き有らば、舊有る者に於て過ぎて裁抑し、以て寡恩の怨みを生ずる莫かれ。事已む可きに在らば、舊無き者に於て妄りに增設し、以て多事の門を開く莫かれ。若し理當に革むべく、時當に興すべく、事勢人情に合はば、則ち拘る所に非ざるなり。
現代語訳
情として通せるものなら、以前からあるものを過度に削って、情け薄いという怨みを生まないようにしなさい。事がやめられるなら、以前に無かったものをむやみに増やして、面倒の門を開かないようにしなさい。もし理として改めるべきで、時として起こすべきで、事の勢いと人の情に合うなら、この限りではありません。
解説
新任者への実務的な助言です。既存のものを削れば恨まれ、新しいものを増やせば面倒が始まる。だからどちらも控えよ、と。そして但し書きが付きます。理と時と事勢人情が揃えば別だ、と。三つの条件を揃えて初めて手を入れる。改革の着手条件を示した一段で、前に出てきた前例の扱いの議論と一続きです。改革の着手条件を、三つに絞って示した一段です。
この章句が説くこと
改革既存新設条件着手
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