呻吟語 / 内篇・應務・心を清くし事を省く
人事者,事由人生也。清心省事,豈不在人?
書き下し
人事なる者は、事人に由りて生ずるなり。心を清くし事を省くは、豈に人に在らざらんや。
現代語訳
人の事とは、事が人から生まれるということです。心を清くし用事を減らすのも、人にかかっているのではないでしょうか。
解説
人事という語を、事が人から生まれると読み替えます。だから用事が多いのは、自分が生んでいるからだということになります。そして心を清くし事を減らすのも自分次第だ、と。忙しさを外から降ってくるものと考える癖を、一つの語の読み替えで覆した一段になっています。前に出てきた、事を自分で複雑にするなという段と通じます。
この章句が説くこと
人事省事清心忙しさ自作
関連する章句
-
尉繚子・十二陵悔いは疑わしきを任ずるに在り。
-
論語・顔淵篇樊遅、仁を問う。子曰く、「人を愛す。」知を問う。子曰く、「人を知る。」樊遅未だ達せず。子曰く、「直きを挙げて諸を枉れるに錯けば、能く枉れる者をして直からしむ。」樊遅退きて、子夏を見て曰く、「郷に吾夫子に見えて知を問う。子曰く、『直きを挙げて諸を枉れるに錯けば、能く枉れる者をして直からしむ』と。何の謂いぞや。」子夏曰く、「富めるかな言や。舜、天下を有ちて、衆に選びて皋陶を挙ぐ。不仁者遠ざかれり。湯、天下を有ちて、衆に選びて伊尹を挙ぐ。不仁者遠ざかれり。」
-
論語・公冶長篇孟武伯問う、「子路は仁なりや。」子曰く、「知らざるなり。」又問う。子曰く、「由や、千乗の国、其の賦を治めしむ可きなり。其の仁を知らざるなり。」「求や何如。」子曰く、「求や、千室の邑、百乗の家、之が宰たらしむ可きなり。其の仁を知らざるなり。」「赤や何如。」子曰く、「赤や、束帯して朝に立ち、賓客と言わしむ可きなり。其の仁を知らざるなり。」
-
論語・為政篇哀公問いて曰く、「何を為さば則ち民服せん。」孔子対えて曰く、「直きを挙げて諸(これ)を枉れるに錯(お)かば、則ち民服せん。枉れるを挙げて諸を直きに錯かば、則ち民服せず。」
-
尚書・說命中惟れ治乱は庶官に在り。官は私昵に及ぼさず、惟れ其の能のみ。爵は悪徳に及ぼす罔く、惟れ其の賢のみ。
-
論語・子路篇仲弓、季氏の宰と為り、政を問う。子曰く、「有司を先にす。小過を赦す。賢才を挙ぐ。」曰く、「焉んぞ賢才を知りて之を挙げん。」曰く、「爾の知る所を挙げよ。爾の知らざる所は、人其れ諸を舎てんや。」